奇抜なスタイリングで当時話題を独占した光岡自動車の「オロチ」

光岡自動車が2007年から2014年にかけて限定で販売したオリジナルカーオロチ。2ドア2シータークーペボディ光岡自動車オロチの最大の特徴はそのスタイリング。オロチの由来にもなっている大蛇の如く地を這うような低く構えたボディはアグレッシブなプロポーションと曲線美という言葉がぴったりなグラマラスかつセクシーなスタイルで人々を驚かせました。今回は光岡自動車オロチについて詳しく見ていきましょう。

大蛇(オロチ)市販へ


出典元:ウィキメディア

〈大蛇(オロチ)コンセプト〉

2001年、第35回東京モーターショーに突如姿を現した光岡自動車のショーカー大蛇(オロチ)。それが後に市販される大蛇(オロチ)につながるコンセプトモデルでした。獲物を狙う蛇のような目をしたヘッドライト、低い位置のヘッドライトから伸びる湾曲したボンネット、ニヤリと笑うようなフロントグリルが特徴的で1度見たら忘れることができないほどインパクトのあるスタイルで登場しました。しかし、このコンセプトモデルはホンダNSXをベースに外板を取り外し光岡自動車オリジナルのパイプフレームを追加しボディを被せたモデルでした。第1段大蛇(オロチ)コンセプトは全長4,580mm全幅2,050mm全高1,140mmと非常に低く幅広いボディ。このコンセプトが話題を呼び購入希望者も現れたため光岡自動車は大蛇(オロチ)市販化に向けて動き出します。

〈完全オリジナルになった第2段大蛇(オロチ)コンセプト〉

2年後の2003年、第37回東京モーターショーでは市販化を視野にいれた大蛇(オロチ)コンセプトを出展。先代コンセプトと最大の違いは完全オリジナルボディになったことです。市販化するにあたり保安基準に適合させるためフロントバンパーの向きを斜め上向きにしています。初代のような鋭い眼差しは少し薄まってしまいましたが存在感のあるグラマラスなプロポーションは健在。このときにはエンジンが搭載され駆動方式も決定していました。エンジンはレクサス製3MZ-FE型3.3L V6エンジンを供給してもらいミッドシップに横置レイアウトし後輪を駆動させるMR方式を採用しています。

参考:光岡自動車の「オロチ」買取専門ページ!

〈ついに市販モデル発表〉

2年の2005年、第39回東京モーターショーに出展したときに市販の発表と予約受付と詳細スペックが公開されました。ボディは完全オリジナル、全長4,560mm全幅2,035mm全高1,180mm重量1,580kg、3MZ-FE型3.3L V6エンジンを座席後部に搭載するミッドシップレイアウトで後輪を駆動させます。サスペンションは四輪ダブルウィッシュボーン式独立懸架、ブレーキはベンチレーテッドディスクブレーキ、タイヤサイズは前輪245/45ZR18後輪285/40ZR18というスペック。エンジンはレクサスRX330から供給、ステアリングはスズキから供給、ブレーキはホンダレジェンドから供給などパーツの供給はあるもののいずれも信頼性の高い国産車のパーツです。コンセプトは日本神話に登場する伝説の生き物である八岐大蛇(ヤマタノオロチ)。「このクルマは、如何なる獲物も、食い破る。異端系、最上位クラス。」のキャッチコピー通り、見たものを引き付けて離さず目を合わせたら食いつかれてしまいそうなエクステリアデザインが特徴です。

一方、インテリアはセンターコンソールを中心に左右対称に広がるシンプルながら質感の高いデザイン。シートはホールド性の高いバケットシートですが快適性を重視しているため座り心地は硬すぎず長時間でも楽に座っていることができます。2006年から納車をはじめた市販車の大蛇(オロチ)は400台限定の受注生産方式。手作業で作られるため納期が4年後になることもありました。ボディカラーなどはオーナーの好みに応じて選択する事が可能で新車価格は11,900,000円~13,800,000円。2008年にはボディカラーを1色に限定しボンネットやヘッドライトの装飾を少なくした廉価版「大蛇(オロチ)・零(ゼロ)」を20台限定で販売、新車価格は8,900,000円と10,000,000円を切る価格を実現しています。同年2008年後半にはボディカラー「月光(ゴールドメタリック)」と「ホワイトゴールドパール」の2色が用意された「大蛇(オロチ)・兜(カブト)」を5台限定13,800,000円で販売。兜(カブト)専用のフロントマスク、エアロパーツ、マフラーレイアウト、エギゾーストサウンドチューニングがされています。


出典元:ウィキメディア

2010年にはゴールドパールボディカラー、専用フロントリップ、専用リアウイング、4本出しマフラーを装備した特別仕様車「オロチ・ゴールドプレミアム」を20台限定10,500,000円で販売。2014年にはフロントリップスポイラー、左右分割リアスポイラー、19インチ専用アルミホイール、専用インテリアカラーを装備した「ファイナルオロチ」を発表。深みのあるパープルカラーを身にまとった「不夜王」を3台、大蛇(オロチ)定番スペシャルカラーゴールドパールを2台、合計5台限定12,700,000円で販売。2007年から2014まで7年間にわたりイヤーモデルをリリースしながら販売された光岡自動車の大蛇(オロチ)はその歴史に幕を閉じました。

コラボレーション

光岡自動車のオリジナルスポーツカー大蛇(オロチ)は話題性が高くインパクトの強いモデルですが、さらに印象深く残るコラボレーションモデルも忘れてはなりません。第1段は2009年ギターメーカーリッケンバッカーとのコラボレーション。内外装にギターを思わせるデザインアイコンを取り入れた特別仕様車「大蛇(オロチ)・Rickenbacker」を5台限定9,480,000円で販売。第2段は記憶にある方も多くいると思いますが2014年大蛇(オロチ)生産終了後ミツオカ所有のデモカーをベースに新世紀エヴァンゲリオンとコラボレーションした「エヴァンゲリオン・オロチ」。株式会社セブン-イレブン・ジャパンとの共同企画により誕生したエヴァンゲリオン・オロチは全国のセブンイレブンにて購入希望受付をしたところ588件もの応募がありました。

販売台数は限定1台16,000,000円でエヴァンゲリオンメカニックデザイナー山下いくと氏によるデザインがボディに施されています。ノーマルでも存在感のある大蛇(オロチ)がエヴァンゲリオンカラーを身につけ更なるインパクトを与えました。そして、驚きなのが2014年に生産を終了した4年後に大蛇(オロチ)のコラボレーション第3段が2018年に発表されました。デビルマンとのコラボレーション「デビルマン・オロチ」。2018年にインターネットアニメとして配信されている「DEVILMAN crybaby」とのコラボレーション企画で劇中主人公が乗るクルマが大蛇(オロチ)であることと原作者永井豪氏の画業50周年記念と光岡自動車創業50年を迎えたことがきっかけで誕生。レッドとブラックのツートーンカラーとグラデーションによってペイントされたボディはデビルマンの変身をイメージしてペイントされています。実はこの大蛇(オロチ)はミツオカが所有していた極上の中古車をベースにワンオフで製作されたもの。販売台数は限定1台大蛇(オロチ)最高額の19,680,000円で販売されました。

手に入れられるのか?!

台数を限って販売してきた光岡自動車の大蛇(オロチ)ですが手に入れることはできるのでしょうか。中古車情報を見てみるとわずかながら出回っています。10年以上前の車両ですが価格は850万円ほどのプライスが掲げられています。総生産台数450台程度の車両が出回っていることが奇跡に近いです。価格は中古車にしては高めですが所有する価値が十分にあるモデル。さまざまなバージョンの大蛇(オロチ)があることは先ほど述べた通りですが基本的な車両のスペック(エンジンやサスペンションなど)はすべてベースの大蛇(オロチ)と同じなのでグレードは単一グレードになります。好みのボディカラーやインテリアカラーの個体に出会えるかどうかはわかりませんがどうしても大蛇(オロチ)が欲しいのであれば根気強く探していくしかありません。

大蛇(オロチ)が残したもの


出典元:ウィキメディア

「本能の誘惑。煩悩の快楽。」これは光岡自動車大蛇(オロチ)のキャッチコピー。国産車にこだわり、5年もの時間を設計開発に費やし、安全性を確保し、環境基準を満たすなど法基準はクルマ作りでは欠かせないことですがこれら法基準を光岡自動車のような小さい企業でクリアするのは難しいことなのです。しかし、基準を満たしオリジナルスーパーカーとして型式を取得し世に送り出した光岡自動車は日本のカーデザインのみならず世界のカーデザインにも衝撃を与えたモデルになりました。今後、大蛇(オロチ)のようなオリジナルモデルをリリースするかはわかりませんが、光岡自動車大蛇(オロチ)が自動車業界に残した衝撃は日本神話の大蛇(オロチ)のように語り継がれることでしょう。

[ライター/齊藤 優太]

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