日本のスポーツカーシーンに華を添えたモデル「トヨタ ミッドシップスポーツカーMR2」

トヨタが1980年代にリリースしたミッドシップスポーツカーがMR2です。MR2は画期的な発想とコストパフォーマンス、バブル経済の後押しなどによって日本のスポーツカーシーンに華を添えたモデルです。今回はトヨタが製造販売していたミッドシップスポーツカーMR2の誕生、モデルチェンジ後の苦悩、MR2復活の情報までお届けします。

日本車メーカーとして初のミッドシップ

トヨタ初であり日本初のミッドシップスポーツカーMR2が誕生したのは1984年。前輪駆動の小型車のコンポーネンツを利用してミッドシップスポーツカーを作ることができれば低コストでミッドシップスポーツカーを作ることができるという発想のもと作られたコンパクトミッドシップスポーツカーがMR2です。MR2が初めて公開されたのは1983年の東京モーターショー。「Midship Rundabout 2seatr」の頭文字をとって「MR2」と命名されたコンパクトスポーツカーは全長3,950mm全幅1,665mm全高1,250mmと5ナンバーに収まるコンパクトサイズ。車高も低く見るからに走りを予感させるデザインもMR2の魅力のひとつです。エクステリアは緩やかに前傾していく低いボンネット、水平に伸びるベルトライン、角張ったリアまわり、平坦なトランクフードにはエンジンが収まっています。

台形型のサイドガラスエリア、クォーターピラーは整流効果を発揮するために残されリアガラスはキャビンすぐ後方に垂直にそびえ立っています。平坦なトランクフードと運転席側ドア後方にあるスリットがミッドシップであることを控えめに伝えてくれます。インテリアはまっすぐに伸びるダッシュボード、スパッと切り落としたかのような造形が特徴。メーターパネルの左右に取り付けられているスイッチ類がコックピットの雰囲気を強調しています。直線的に描かれたエクステリアとインテリアが現代でもスタイリッシュに見える初代MR2のまとまりのあるデザインは今でも色褪せていません。座席後方に搭載されるエンジンは1.5L直列4気筒エンジンもしくは1.6L直列4気筒エンジンで1.6Lエンジンはあの「4A-G」シリーズが搭載されています。高回転かつ高出力エンジンの4A-Gシリーズは今でも名機として知られています。ミッドシップから解き放たれるエンジンパワーは4速ATもしくは5速MTを通して後輪に伝えられクルマを押し出していきます。

初代MR2モデル後期(1986年~)では1.5L直列4気筒エンジン・1.6L直列4気筒エンジン・1.6L直列4気筒スーパーチャージャーエンジンの3タイプをラインナップ。走りの面ではフロントが軽いミッドシップの特性がよく現れている走りで鼻先の軽いハンドリングがスポーティーで好印象。1984年には日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するほどの実力でした。

進化を重ねた2代目MR2

1989年にフルモデルチェンジを行いMR2は2代目へ移行しました。基本的なコンセプトは変えずコンパクトでコストパフォーマンスに優れたミッドシップスポーツカーを目指した2代目。さらに2代目MR2では上質さをアップしています。エクステリアは初代と比較すると角が取れて丸みを帯びたクーペらしいスタイルへ変わっています。インテリアは曲面を使った造形により落ち着きと質感の高さを感じることができる室内へ変更。エクステリアとインテリアともに質感のアップをしながらも全長4,170mm全幅1,695mm全高1,235mmのコンパクトサイズを維持。初代よりも少し全長と全幅はサイズアップしましたが全高は若干のサイズダウン、ワイド・アンド・ローのスタイルになり美しさとスポーティーさを両立しています。座席のすぐ後ろに搭載されるエンジンは2.0Lへ排気量をアップ。

この2代目MR2に搭載された2.0Lエンジンは「3S-G」シリーズでトヨタを代表するスポーツカーセリカなどに搭載されモータースポーツでも活躍した名機といわれるエンジンを搭載、本格ミッドシップスポーツカーへ変貌を遂げました。ラインナップは自然吸気エンジンとターボチャージャーエンジンの2種類が用意され4速ATもしくは5速MTを通じて後輪を駆動させます。パワフルでスポーティーなエンジンを手に入れた2代目MR2ですがエンジンとボディのバランスがアンマッチになってしまいました。特に車両重量の増加、ブレーキの容量不足、前輪接地圧不足から走りの面での評価は低くドライブテクニックがあるドライバーでも不安を覚えるほどだったといいます。この走行面での低評価を受け1991年にマイナーチェンジを実施。足まわりを中心に変更が行われホイールの大径化、ブレーキの強化、フロントサスペンションとスタビライザーの変更が施され走行面での改良がされました。1993年2度目のマイナーチェンジを実施。

参考:トヨタ ミッドシップスポーツカーMR2買取専門ページ!


出典:ウィキメディア

2度目のマイナーチェンジではエンジンのパワーアップとエンジンパワーアップに伴う各パーツの強化が行われました。この変更により走行安定性が増加しました。この頃、日本経済はバブル崩壊を受けスポーツカーに対する需要の変化が起き販売台数が伸び悩み注文生産車へと変更されます。1996年3度目のマイナーチェンジ。3度目のマイナーチェンジでは装備の変更や安全面の強化がされました。1997年4度目のマイナーチェンジ。4度目のマイナーチェンジではエクステリアとインテリアの小変更とエンジンの小変更が行われました。マイナーチェンジを重ね進化をしてきたMR2は最終的にモータースポーツの世界でも活躍、ジムカーナやル・マン24時間レースなどに参戦。進化したポテンシャルを見せつけスポーツカーとして認められる存在になりました。度重なるマイナーチェンジや変更、時代の波に飲まれながら生産され続けた2代目MR2は1999年にコンパクトオープンスポーツカーMR-SになりコンパクトミッドシップスポーツクーペMR2の歴史に幕を閉じました。

今はなきトヨタのミッドシップを手に入れる

日本車初のコンパクトミッドシップスポーツカーMR2。今となっては貴重な国産ミッドシップ本格スポーツカーです。初代MR2販売開始から2019年時点で35年が経過、フルモデルチェンジした2代目からは2019年時点で30年が経過、最終モデルから2019年時点で20年が経過しています。これほど時間が経っているのにも関わらず中古車市場では高価格で取引されています。最も手に入れやすい個体でも15万円ほど、最も高価な個体だと350万円ほどの価格が掲げられています。今でも国産車では数少ないミッドシップスポーツカーが評価されているということを中古車市場の情報からも読み取ることができます。現時点(2019年3月時点)で流通している個体数は100台程度。この中でオススメの車両は初代MR2であれば「1.6L(4A-G)自然吸気エンジン搭載の5速MT」がオススメ。

あえて1.6L 4A-G自然吸気エンジンをオススメする理由は初代MR2の軽量ボディに高回転までストレスなく回る1.6L 4A-Gエンジンの組み合わせを楽しむことができるモデルだからです。2代目MR2であれば「1993年マイナーチェンジ以降5速MT」がオススメです。1991年と1993年のマイナーチェンジでは走行に関する変更が行われ走行が安定し扱いやすくなっているからです。いずれにしても修復歴が無い車両の方が良いでしょう。ボディ剛性が低下してしまうような修復がされているとスポーティーなドライビングに影響を及ぼすことがあります。

〈オススメまとめ〉

〈初代MR2〉
・1.6L 4A-G自然吸気エンジン
・5速MT
・修復歴無し

〈2代目MR2〉
・1993年マイナーチェンジ以降
・5速MT
・修復歴無し

MR2復活!?

日本車の新しい歴史を作りトヨタの新しい挑戦となったMR2。この挑戦はMR2からMR-Sへ受け継がれ2007年までミッドシップスポーツカーがトヨタ車のモデルラインナップに存在していました。MR-Sの生産終了以降コンパクトミッドシップスポーツカーを製造していないトヨタですが、2018年後半からMR2復活の報道がされています。近年トヨタはスポーツカーを多く復活させています。ミディアムサイズのスポーツカー「86」、ハイパフォーマンスフラッグシップスポーツカーの「スープラ」と2010年代に入りトヨタのスポーツカーは盛り上がりを見せています。またサブブランドの「GR(Gazoo Racing)」を立ち上げスポーティーモデルの展開やレース活動にも積極的です。

「86」や「スープラ」のチーフエンジニアである多田哲哉氏は「トヨタに大、中、小のスポーツカーを揃えたい」と話していることからコンパクトスポーツカーMR2の復活が囁かれるようになりました。現時点で最も有力な説は2.0L水平対向4気筒エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドコンパクトスポーツの説です。現時点ではまだトヨタからの発表がないことからMR2が復活すると明言することはできませんが今後トヨタのスポーツカーやスポーツ部門から目を離すことができないのは確かですね。

[ライター/齊藤 優太]