丸目4灯・6代目セリカの姉妹車、トヨタ・カレン。1代限りで終わってしまった端正なデザインのクーペ

みなさん、こんにちは!今回は、トヨタ・セリカの姉妹車、カレンを紹介します。丸目4灯のデザインが個性的かつ非常にインパクトがあった6代目セリカ。そのセリカをベースに生まれたカレンは、一方で非常に端正なクーペに仕上がっていました。モータースポーツにも積極的に参戦し、男性的なイメージが強いセリカに比べると、カレンは女性的なイメージが強いと言えるでしょう。生産を終えてからかなりの時間が経ってしまったカレン、その魅力に改めて迫ります。

6代目セリカの姉妹車として登場


出典:ウィキメディア

トヨタ・カレンが日本で発売されたのは1994年1月から。ベースとなった6代目セリカは1993年10月に販売開始されていたので、それに遅れること3ヶ月でデビューしたということになります。6代目セリカの主要マーケットのひとつに北米市場がありましたが、そこでは通常の3ドアハッチバックボディのセリカの他に、2ドアのノッチバッククーペも「セリカノッチバック」として生産されていました。この「セリカノッチバック」が、カレンの直接のベースになります。

カレンという車名は、日本語での「可憐な」という意味と、「現代の」「時流に乗った」という意味の英語「current」という意味の、ふたつの意味が込められています。名前の由来からも、カレンには女性的なイメージを与えられているのがわかりますね。

セリカは異形4灯のフロントマスクが特徴ですが、カレンはその面影がほとんどない、シンプルでクリーンな造形のヘッドライトに変更されています。同じくトヨタから発売されていたコロナクーペを思い出させるようなオーソドックスなデザインは、セリカのデザインは少しアクが強すぎる…と感じている方にも受け入れられやすいのではないでしょうか。

端正なスタイルのノッチバッククーペ

セリカとの最も大きな相違点は、3ドアハッチバックのボディが、2ドアのノッチバッククーペのボディに変更されているということでしょう。その恩恵もあって、リアからのスタイリングは非常に落ち着いた印象に変貌。全体的にバランスの取れた、端正なエクステリアとなっています。

ちなみに、このノッチバックのボディをベースにセリカのコンバーチブルが生産されましたが、残念ながらカレンにはラインナップされることはありませんでした。カレンのエクステリアを眺めていると、このデザインでコンバーチブルモデルがあったらとても魅力的だったのでは…と思わずにいられません。

また、セリカに用意されていた最強グレード「GT-FOUR」のようなターボエンジン搭載モデルや四輪駆動モデルも、カレンには設定されませんでした。モータースポーツへの参戦が考慮されてなかったとはいえ、カレンのノッチバッククーペボディで「思い切り走りに振ったモデル」も見てみたかったですね。

参考:トヨタ・カレン買取専用ページ!

というのも、カレンの車重は、セリカの同等グレードで比較すると、わずかですが30kgほど軽くなっているからです。また、豊富に用意されたセリカ用のアフターパーツも、そのほとんどが流用可能でした。しかし、「若者の洗練されたスペシャルティ」という基本コンセプトや、実際のクルマのイメージからか、カレンをいじって楽しむ方は少数派でした。

駆動方式はFFのみ


出典:ウィキメディア

カレンのサイズは、全長4,490mm、全幅1,750mm、全高1,310mmという3ナンバーサイズで、ノッチバックボディになった関係でセリカよりも全長は70mmだけ伸び、全高は5mmだけ高くなっています。低くワイドなプロポーションは、1990年代前半登場のクーペならではと言えるでしょう。なぜなら、この後はRV、SUV、ミニバン人気に押され、こうしたスペシャルティクーペはほとんど絶滅してしまうからです。1993年発売の日産・シルビア(S14型)とは良いライバル関係を築いていました。

シルビアと比較したとき、カレンが走り好きのドライバーからあまり人気がなかった理由のひとつが、FFという駆動方式でした。FRを頑なに採用し続けたシルビアに比べ、FFを採用したカレンは、気楽に運転できる洗練されたスペシャルティ、というイメージでまとめられていたと言えるでしょう。

採用されていたエンジンは、自然吸気の直列4気筒DOHCで、1.8リッターと2リッターが設定されていました。また、2リッターエンジンは、実用性と経済性を重視したハイメカツインカム「3S-FE型」、最上級のスポーツグレードにはスポーツツインカム「3S-GE型」の2種類が用意されていました。エンジンの最高出力は3S-GEが180ps(5MT、4ATは170ps)、3S-FEは140psを発生。1,110〜1,210kgのボディを軽快に走らせるには十分な性能を持っています。ベーシックグレードに採用された1.8リッターエンジンは「4S-FE型」で、最高出力は125psとなっていました。

300台のみの限定車「TRDスポーツ」も存在

グレード構成は、発売当初は2リッターエンジンのみで、ベーシックな「FS」、4輪操舵(4WS)も選択できる「XS」 、最上級スポーツグレードの「ZS」がラインナップ。それぞれ4速ATと5速MTから選択可能でした。「ZS」にはスーパーストラットサスペンション採用車も用意され、こちらは「ZS スポーツセレクション」、4WSを採用した「XS」は「XS ツーリングセレクション」のグレード名が与えられました。

1995年には1月には、特別仕様車「XSリミテッド」が発売されます。こちらは、リアスポイラーを装着し、インテリアでは高級オーディオを特別に装備したモデルでした。

1995年10月にはマイナーチェンジが実施されました。1.8リッターエンジンを搭載したベーシックグレード「TS」が追加され、以前のベーシックグレード「FS」は廃止されます。運転席エアバッグが標準装備とされ安全性が向上。デザイン面では、フロントバンパーのデザインを変更、テールランプのスモーク化、アルミホイールに切削光沢加工を施したほか、リアワイパーも設定されました。

1996年にも一部改良が行われ、ABSと助手席エアバッグを標準装備としさらに安全性能を向上させています。また、ウィンドウガラスを紫外線カットタイプに変更し、室内の居住性も改善されました。この年には300台のみ生産された限定車「TRDスポーツ」も登場。トヨタ・ビスタ店15周年記念モデルとして販売されたこのモデルは、最上級スポーツグレード「ZS」のスーパーストラットサスペンション仕様車をベースに、ヘリカルLSDや各種TRD製パーツ、専用エアロパーツなどを装着した、スポーツ度を高めたモデルでした。

1998年7月にはオーダーストップ。以降は在庫のみの対応となり、1998年9月に販売終了。6代目セリカよりも1年早く販売を終了し、フルモデルチェンジや直接の後継車も発表されなかったため、カレンは1代限りで生産終了、トヨタのカタログから姿を消してしまいました。総販売台数は44,686台。約4年間の短い販売期間だったということもありますが、販売はあまり奮いませんでした。

「TRDスポーツ」は現在でも高値を維持

実際に販売された台数が少なく、また生産終了から20年以上が経過しているということもあり、国内の中古車市場で販売されている個体は年々数が少なく、また程度が良い個体もますます少なくなってきています。2019年8月現在で出回っている個体数は5台前後、価格は20万から100万円ほどとなっています。このうち、100万円ほどのプライスタグが付けられているのは、やはり限定車の「TRDスポーツ」。程度がよければ、今後もある程度の価格を維持することが予想されます。

すでに生産終了から20年以上経っているので、カレンの購入を検討する際は、クルマのコンディションの確認はもちろん、消耗品や交換パーツの確保・購入ルートの確認もしっかり行っておきましょう。せっかく憧れのカレンを手に入れたのに、たった一個の部品が交換できずに車検を通せず廃車、では悲しすぎます。

世の中のクルマが一気にアウトドア、ファミリー向けに舵を取る直前に生まれた端正なクーペ、トヨタ・カレン。販売されていた頃もあまり街中で見かけるクルマではありませんでしたが、近年はさらに希少なクルマとなってしまいました。今後も、できるだけ多くのカレンが残っていくといいですね。それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

[ライター/守屋健]