日産R35 GT-Rの人気と実力に迫る。世界的にも高い評価を受けているスポーツカー

日産GT-Rは2007年から日産が販売しているスポーツカー。通称R35と呼ばれています。R35 GT-Rはスカイラインの派生車としてのGT-Rではなく独立した車種として販売され、今や日本が誇るスーパーカーとしての名誉と実力を手に入れ、世界からも高い評価を受けているスポーツカーです。ではGT-Rが絶えずスーパーカーとして高評価なのかということを詳しく見ていきましょう。R35 GT-Rを紐解くキーワードは「ミスターGT-R水野和敏」「独創的な試み」「絶えず進化を続ける」の3つです。

R35 GT-Rはどんな経緯で開発されたのか

GT-Rは2000年から先行開発が開始され、2001年東京モーターショーにてコンセプトが発表されました。2004年から本格開発が開始。この時カルロス・ゴーン社長が開発責任者として水野和敏を任命。日産の開発体制としては異例の全ての権限(開発や販売など)を水野和敏氏に任せるという特殊な体制をとりGT-Rプロジェクトが始動しました。開発当初、カルロス・ゴーン社長から「テールランプは丸型4灯」ということだけがオーダーされました。

水野和敏氏は「世界の競合に勝てる車を3年で新たなパッケージで完成させる」と一般的な車両開発期間の半分の時間と低コストで最高の車を作ると公言しました。日産社内で協力者を募ると賛同してくれたのはわずか3人。大半の人は「水野さん、無理だよ」「水野さん、やめましょう。失敗するから」などと言いに来ましたが水野和敏氏は絶対大丈夫という確信がありました。水野和敏氏は「世界の競合たちには最大の弱点がある。それはブランド。ブランドを維持することは進化を止めること。だから、GT-Rは大丈夫」と反対意見の人たちを説得したと言います。このような裏話がGT-Rにはあったのです。

気になるGT-Rのスペック

GT-Rは全長4,655mm(パッケージ、パーツにより若干前後)、全幅1,895mm、全高1,370mm(パッケージ、パーツにより若干差があります)の3サイズを持ち、ハイパフォーマンスカーとしては重めの1,700kg前後の重量。「プレミアムミッドシップパッケージ」通称「PMパッケージ」という新たなパッケージングを採用し、フロントタイヤ側にエンジン、リアタイヤ側にクラッチ、トランスミッション、トランスファーを搭載する世界初の独立型トランスアクスルを採用し適切な重量配分を実現。このパッケージは将来を見込みエンジンのみならずさまざまなパワートレーンに対応できる構造となっています。PMパッケージの今後も楽しみです。

エンジンはV6 3.8Lツインターボ(型式:VR38DETT)。デビュー当初は480PSでしたが年次改良を重ねNISMOバージョンでは600PSまで引き上げることに成功しています。トランスミッションは6速デュアルクラッチトランスミッションを搭載。電光石火のごとくギアチェンジをすることができ、最速0.2秒で変速することが可能。サスペンションは減衰力を可変することができるシステムを採用し「R」「ノーマル」「コンフォート」の3つの特性から選択することができます。ブレーキシステムは4輪ディスクブレーキ、前輪には対向6ポット後輪には対向4ポットのブレンボ製モノブロックキャリパーと日産製薄型大径ローターを使用し純正ノーマルブレーキでもシティユースからサーキットまで耐えうる性能を保持しています。タイヤは専用ランフラットタイヤと専用軽量高剛性ホイールが装着されており脱着やタイヤ交換は日産ハイパフォーマンスセンターでのみ行うことができます。

参考:日産R35 GT-R買取専門ページ!

World of GT-R

デザインは2ドアクーペスタイルではあるものの座席は2+2の4人乗り。スペックVとクラブ・トラック・エディションな後席を取り払い軽量化させています。エクステリアデザインは口を大きく開けたようなフロントグリルが特徴。冷却性能や空力性能を追求した形状になっています。空気の抵抗を表すcd値はデビュー当初は0.27。マイナーチェンジにより0.26まで突き詰め、リアウイングによりダウンフォースを発生させます。先代のR34 GT-Rよりも小型化されたウイングですがダウンフォースは向上。他にもフロントバンパー、リアバンパー、サイドスカート、リアディフューザーなどのパーツにより速度を上げるほど空気を見方につけダウンフォースで車体を押さえつける力へ変えるパーツが装着されています。スタイリッシュでグラマラスなデザインではなくずんぐりむっくりしてると言われがちのデザインですが実用性まで考慮されたハイパフォーマンスカーGT-Rは唯一無二の孤高の存在と言えるでしょう。

インテリアではフロント2席をメインとした展開となっており、サポート性の高いシートとセンターコンソールを中心に左右対象に広がるダッシュボードにより包み込まれるような空間が広がっています。開発責任者の水野和敏氏曰く「World of GT-R」を具現化したGT-R独自の世界が展開されています。グレードやパッケージにより材質は異なるものの基本デザインは同一です。メーターパネルは340km/hまで刻んでいるアナログスピードメーターと中央に大きくレイアウトされているタコメーター。ギアを示すデジタルゲージ、アナログ燃料計、アナログ水温計を右側にレイアウトしています。センター上部に配置してあるモニターはプレイステーションのゲーム「グランツーリスモ」を製作しているポリフォニー・デジタルが担当。多彩なモニター表示と情報表示を可能としています。2007年10月東京モーターショーで初公開されると同時にプレイステーションネットワークを通じてGT5(グランツーリスモ5)prologue体験版でもアンベールされました。初公開と同時にバーチャルの世界でも同時公開する試みはGT-Rが世界初。GT-Rの新たな試みは他にもありGT-Rの本領をリアルな世界でも体験できるシステムを搭載しています。それはナビゲーションのGPSの機能を使ってサーキットに到着するとリミッターが解除できるというもの。一般道では一般の日本車と同じく180Km/hでリミッターが効くようにセットされていますがサーキットではGT-Rの本来の性能を引き出すためリミッター解除が可能となっています。

GT-Rの絶え間ない進化に人々は魅了される

GT-Rは年次改良をするモデルとして知られています。年次改良をする度に性能のアップ、エンジンパフォーマンスの向上、空力性能向上など開発の手を緩めないのもGT-Rが世界で愛され続ける理由のひとつです。よって、販売されていた年によってグレードやバージョンが異なっていたり、装着されている装備やパーツが違ったりしています。

そこで日産はGT-Rオーナーに向けた「バージョンアップキット」の販売をしています。初期にGT-Rオーナーになった人もGT-Rの進化を手に入れることができる制度を導入し最高のパフォーマンスを絶えずオーナーに提供し続けています。GT-Rの性能を維持するためにも日産ハイパフォーマンスセンターを設けGT-R専用プログラムや専用部品などの販売をしているのもR35 GT-Rの特徴。ディーラーにて整備を受けることになり維持費の高さなどが指摘されていますが実は日産がこのような措置をとったのも国土交通省から違法改造防止対策を求められたため設置したとも言われています。日産ハイパフォーマンスセンターのスタッフは一定期間の特別研修プログラムを受けたスタッフであり、スペックVやクラブ・トラック・エディションなどの特別車両に関してはサーキット走行を熟知したスタッフによる整備を受けることになります。もちろん、アフターパーツや社外パーツなどの販売もされていますがハイパフォーマンスセンター以外での整備や純正部品以外のパーツを装着するとメーカー保証適応外になってしまいます。日産自動車のラインナップの中でも特別な扱いとなるGT-Rは製造や販売、アフターサービスの徹底によりGT-Rの性能が維持されているといっても過言ではないでしょう。

GT-Rは新たな領域へ

GT-Rは単なるスーパーカーではありません。GT-Rはマルチパフォーマンススーパーカーと開発責任者の水野和敏氏は言います。確かにGT-Rの本来のパフォーマンスを発揮する場面はサーキットです。それらはSuper GTなどのレースでの活躍を見れば一目瞭然。しかし本当の実力は一般道、雪道、ウェット路面などあらゆる道で最高のパフォーマンスを発揮することができるような作りやレイアウト、セッティングがされていること。また日常の足として使えるハイパフォーマンスカーとしてトランクスペース、操縦安定性、乗降性などあらゆる面で考慮されています。買い物や通勤、高速道路を使っての長距離移動、海外のあらゆるハイスピード領域での安定性、サーキットまで全てのシーンで幅広く使うことができ、どんな場面でも高いパフォーマンスを発揮することができる車が日産GT-R。スーパーカーの常識を打ち破り新たな領域へ踏み入れたGT-Rは日本を代表する名車です。

[ライター/齊藤 優太]