多くのドライバーを育てた1.6リッタークラスの傑作クーペ、トヨタ・カローラレビン。TE27とAE86は現在でも中古車市場で大人気!

みなさん、こんにちは!今回は、トヨタの1.6リッタークラスの小型クーペ、カローラレビンについて紹介します。カローラレビンは、兄弟車のスプリンタートレノと並び、長きに渡りモータースポーツを志す多くの若者を育ててきた傑作シリーズです。

1972年から2000年まで、7代28年に渡り生産されてきたカローラレビン。その中には初代モデルTE27型や、今でも不動の人気を誇るAE86型などが含まれています。この記事では、カローラレビンの決して短くはないモデルライフを振り返り、なぜ今でもこれほどまでに多くの人々の支持を集めるのか、その魅力に迫っていきたいと思います。

とにかくスパルタンだった初代モデル


出典:ウィキメディア

カローラレビンの初代モデル・TE27型が登場したのは1972年。多くの人々から「27レビン」の名前で呼ばれるこのクルマは、低価格ながらやんちゃでじゃじゃ馬なドライビングフィールで人気を博しました。カローラレビンよりも高性能なクルマは当然他にも多く存在しましたが、値段と性能のバランスが取れたモデルとして多くの有望なドライバーに選ばれ、当時のラリーやサーキットで大暴れしたのです。

当時はベースになったカローラにもクーペモデルが存在していたので、カローラレビンはその高性能版、という位置付けでした。全長4m足らず、全幅は1.6mにも満たないコンパクトなボディに、1.6リッターの直列4気筒DOHCエンジンを搭載。ソレックスの2連キャブレターを装備し、9.8の圧縮比から最高出力115ps/6400rpm、最大トルクは14.5kgm/5200rpmを発生しました。レギュラーガソリン仕様も用意され、こちらは最高出力110psとなっています。

当時としてはトップクラスのこのエンジンと、セリカに比べて約100kgも軽い855kgという軽量ボディが組み合わされた結果、パワーウェイトレシオは7.43kg/psという、こちらも当時としては驚きの数値を実現。その結果、最高速度は190km/h、0→400m加速は16.3秒と、この価格帯の小型クーペとしては驚愕の速さとなっています。

参考:トヨタ・カローラレビン買取専門ページ!

サスペンションの形式はベースモデルと同様ですが、スプリングやダンパーなどは固く締め上げられ、スパルタンな乗り味となっていました。インテリアも6連メーターにバケットシート、本革巻きスポーツステアリング、フットレストを標準装備とするなど、快適さよりも走るための装備が重点的に採用されています。

極めつけはエクステリアです。FRP製のオーバーフェンダーの内側には太い13インチのラジアルタイヤが控え、ボディカラーはオレンジとダークグリーンの2色のみ、という潔さでした。まるでホモロゲーションモデルのようなカローラレビンは、特にラリー競技で目覚ましい活躍を見せました。国内のラリーのみならず、WRC(世界ラリー選手権)でも好成績を残しています。

排ガス規制に振り回された2代目

1974年に登場した2代目モデル前期型・TE37型は、カローラレビンの歴史上、最も少ない生産台数で終わった悲運のモデルです。ボディは2ドアハードトップとなり、50kgの重量増は初代モデルのスポーティなフィーリングを損ねてしまいました。また、キャブレター仕様が排ガス規制をクリアできず、わずか256台のみが製造された段階で生産終了となります。

1977年になると2代目モデル後期型として復活。当初はTE51型、1978年からTE55型に変更されています。復活の決め手は、インジェクションと酸化触媒の採用による排ガス規制への対応です。ところが、1979年には早くもフルモデルチェンジ。カローラレビンは3代目・TE71型へと進化します。このTE71型はカローラレビンの中でも影の薄いモデルですが、歴史的には重要な役割を果たしました。というのも、フロントのストラットサスペンション、リヤのラテラルロッド付き5リンクリジッドアクスルサスペンションという単純で既に旧態化していたメカニズムは、そのままこの後に登場する名車・AE86型に引き継がれることになるからです。

名車・AE86型の登場


出典:ウィキメディア

カローラレビンとしては4代目モデルにあたるAE86型は、1983年から1987年まで販売されました。当時小型車は一斉にFF化が進んでおり、高性能車は軒並みターボによる高出力化が行われているという時代でした。そこに、シンプルなものの旧態化したサスペンション、FR、自然吸気の1.6リッターエンジン、というスペックで登場したAE86型は、メカニズム的に大きな新機軸やトピックがあるわけではなく、一見すると地味な存在でした。

しかし、搭載されていた新設計のDOHCエンジン、「4A-GEU」型は、レギュラーガソリン使用の1.6リッターながら、最高出力130PS/6600rpm、最大トルク15.2kgm/5200rpm(いずれもグロス値)を発揮。当時のターボ車顔負けの出力を誇りました。また、小型軽量で高い剛性を持つボディとの組み合わせは、チューニング志向のショップやドライバーたちに注目され、早速ジムカーナ仕様やラリー仕様が製作されていきます。

「4A-GEU」型エンジンは中低速域のトルクが細く、コーナリングで早く走らせるためには、ドライバー自身のドライビングテクニックが必要不可欠でした。まだトラクションコントロールなどの電子デバイスが搭載される前の時代のクルマですから、当時のドライバーたちは真摯にクルマに向き合い、テクニックを磨いたり、クルマのセッティングをじっくりと煮詰めていったといいます。「4A-GEU」型エンジンは燃焼室の構造がシンプルで、圧縮比が上げやすい、というのも利点のひとつでした。

次期型のAE92型がFFになったことや、日本国内で小型軽量のFRクーペが希少になってきたということ、また漫画やアニメの活躍などでAE86型の価格は急激に高騰。現在でも中古車市場では100万円前後から400万円に近い価格で取引されています。取り扱っている専門店やアフターパーツも非常に多く、現在でも乗り続けることに不安の少ない稀有な国産旧車のひとつと言えるでしょう。

AE86型の兄弟車に、SOHCエンジンを積んだAE85型が存在します。こちらは最高出力が80ps前後と非力でスポーツ走行には向かないとされていましたが、現在では改造用のベース車両として、こちらも一定の人気があります。

FF化したAE92型

1987年、AE86型の次に登場した5代目・AE92型(廉価版はAE91型)は、カローラレビンとしては初のFF車となりました。これがネガティブイメージになるかと思いきや、時はバブル経済、さらにシルビアやプレリュードなどの「デートカー」と並び称されて、なんと歴代モデル最高の売り上げを記録する大ヒットモデルとなりました。

当時大ヒットを飛ばしていたソアラのデザインをも取り入れたため、「ミニソアラ」の呼び名もあったAE92型ですが、事態は思わぬ方向に進みます。あまりに数が売れすぎたため、中古車市場では早くから大きく値崩れを起こしたのです。また、バブル崩壊後、ソアラやスープラなどの上級クーペの値下がりもAE92型を直撃しました。結局、最後のFRとなったAE86型ほどの「息の長い人気」は獲得できず、多くの個体はすでに解体。残った個体もさほど注目されないという、バブルに振り回されたクルマとなってしまいました。

現在でもAE86型とTE27型は大人気!

1991年に6代目・AE100型(AE101型)、1995年には最後のカローラレビン、7代目・AE110型(AE111型)が登場します。エンジンの出力向上やボディ剛性の向上のための補強などが行われたものの、大きく重たくなったボディは「軽量コンパクト」とは言い難く、往時の人気の復活には至りませんでした。結局、クーペ、スペシャルティカー全体の販売不振が原因で、2000年8月にカローラレビン・スプリンタートレノは販売終了となり、28年の歴史に幕を下ろしたのです。

小型軽量、そして低価格を武器に、多くのドライバーを育ててきた傑作シリーズ、カローラレビン。現在でもAE86型とTE27型が非常に高値を付ける中古車市場ですが、それほど数は多くはないものの手頃な価格でAE100型以降のモデルを見かけることも。いずれにせよ、カローラレビンの勇姿はまだしばらく見られそうですね!

[ライター/守屋健]