三菱の技術の結晶。三菱自身が「スーパー4WDスポーツカー」と銘打つ、GTOの魅力に迫る!

みなさん、こんにちは!スポーツカー好きにとって気になるキーワードのひとつ、「GTO」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?フェラーリの伝説的名車、250GTOや288GTO、近年復活して話題になった599GTOを想像する方が多いかと思いますが、かつて日本にも「GTO」を名乗ったクルマが存在しました。三菱・ギャランGTOと三菱・GTOです。

今回は三菱自身によって「スーパー4WDスポーツカー」と名付けられたスポーツカー、三菱・GTOについて紹介します。発表当時は、同じく最新技術を満載したスポーツカー、日産・スカイラインGT-R(R32型)や、ホンダのフラッグシップスポーツカー・初代NSXの影に隠れて目立たない存在となってしまいましたが、毎年のように細かい改良が続けられた「三菱の良心と志」を感じられるクルマでもあります。三菱・GTOは、当時盛んに言われたように、本当に「形だけのスポーツカー」だったのでしょうか?生産終了から20年が経とうとしている今、改めて三菱・GTOの真価に迫っていきたいと思います!

「HSX」が原型


出典:ウィキメディア

1989年の第28回東京モーターショー。三菱のブースの一角に、一際目を引く一台のコンセプトカーが展示されました。「HSX」と名付けられたクルマは参考出品ではあったものの、低く、幅広い日本車離れしたデザインは、多くの人々の心に強烈なインパクトを与えました。そして、約1年後の1990年10月から市販モデルが販売されるようになります。

時はバブル経済絶頂期。国産のスポーツカーが数多く発表された時期でもあります。そんな中、GTOは4ドアサルーン並みの全長4,550mm、1840mmに達する全幅という最大クラスのボディをまとって登場しました。「HSX」は2シーターでしたが、GTOは2プラス2の4座モデルとなっています。

日本で用意されていたのは四輪駆動モデルのみで、エンジンは3リッターのV型6気筒DOHC、その自然吸気モデルとインタークーラー付きツインターボモデルの2種類が設定されました。自然吸気エンジンモデルのトランスミッションは5速マニュアルまたは4速オートマチックから選択できましたが、ターボモデルは5速マニュアルのみが用意されていました。マニュアルのトランスミッションは、ドイツの名門ゲトラグ社製で、日本で初めての採用例となっています。

四輪駆動については、VCU式フルタイム4WDを採用。前後輪のトルク配分は45:55の固定となっています。サスペンションの形式はフロントがマクファーソンストラット、リアがダブルウィッシュボーンです。

GTOは「走る・曲がる・止まる」を突き詰めた「オール・ホイール・コントロール理論」を基本的な考えとして設計されていて、サスペンション、ブレーキ、ステアリングを高度に制御するシステムが搭載されています。そのうちの一つが「ECS(電子制御サスペンション)」です。また、中速度から高速度域で、ステアリングを前後輪で同じ方向に操舵する「4WS(四輪操舵システム)」も搭載しています。

参考:三菱スーパー4WDスポーツカー「GTO」買取専門ページ!

他にも、排気ガスがマフラーに流れる量を調節することで迫力のあるエキゾーストサウンドを実現する「アクティブエキゾーストシステム」や、高速走行時にリヤスポイラーやフロントのベンチュリーカバーを自動で可動するシステム「アクティブエアロシステム」を搭載しています。

エンジンの出力はツインターボモデルで280ps、自然吸気モデルで225psを発生しました。ツインターボモデルは、当時の「国産車280馬力戦争」に参戦した、初の三菱車となったのです。

エンジンとシャーシの基本形は、4ドアセダンである「ディアマンテ」がベースとなっており、V型6気筒エンジンは横置きに搭載されていました。デビュー当初の車両価格は、ツインターボモデルで398万5千円。採用されたメカニズムの充実度を考えると、かなり安価な価格設定がされていましたが、エンジンやプラットフォームがセダンベースであることや、1.7トン前後の車重が「スポーツカーらしくない」とされ、一部では「形だけのスポーツカー」と揶揄されることありました。

国外仕様の出力は320PS!


出典:ウィキメディア

三菱自身、GTOが専用プラットフォームのスポーツカーではないことをどう捉えていたのかは知る由もありませんが、GTOにもスポーツカーとして素質が十分に備わっている点があります。高いボディ剛性と、トルク重視のツインターボエンジン、剛性の高いゲトラグ製マニュアルギアボックスと、日本初採用のアルミ製4ポット異径対向ピストンブレーキキャリパー(のちにAPロッキード製6ポットブレーキもオプション設定)による大容量ブレーキシステムです。

これらの美点は、GTOをチューニングのベースマシンと考えた際に非常に優れた特徴として、北米のチューナーたちに愛され、特にドラッグレースで人気を博します。北米では「3000GT」というネーミングで販売され、四輪駆動モデルだけでなく、FFの自然吸気モデルもラインアップされていました。トップモデルの四輪駆動・ツインターボモデルは何と320psを発生。当時の多くの国産280psモデルは「あえて280psに制限している」と言われていましたが、GTOもその例に漏れず、それだけのエンジンポテンシャルを隠し持ったモデルだったのです。

GTOはノンターボとターボのシンプルなグレード構成でしたが、のちに「MR」と呼ばれるスポーツバージョンが追加されます。BBS17インチホイール、ABS、4WS、オートクルーズ、フォグランプをオプション設定とすることで、軽量化を図るとともにリーズナブルな価格を実現。走りにこだわるドライバーに好評を博しました。

たゆまぬ改良の手

GTOは1990年の登場から2001年の生産完了まで、毎年のように多くのマイナーチェンジが行われました。4度の大きなマイナーチェンジのタイミングや、エクステリアの変更点などから、「前期型」「中期型」「後期型」「最終型」に大まかに分けられます。全ての変更点を挙げていくことはできませんが、ポイントだけ見ていくことにしましょう。

前期型の特徴は、何と言ってもリトラクタブルヘッドランプです。また、前期型の途中で17インチホイールと50%扁平率タイヤ、キーレスエントリーや電動格納式ミラーが採用されています。

中期型では、リトラクタブルヘッドランプが廃止となり、4灯固定式ヘッドライトに変更になります。ターボモデルのマニュアルミッションは6速に進化、エンジンのトルク値も1kgf・m増加します。また、先述のスポーツモデル「MR」がラインナップに加わるほか、APロッキード製6ポットブレーキキャリパー、リアハイブリッドLSDがオプション設定となります。

後期型では、アクティブエアロが廃止になり、フロントバンパーやリアスポイラーのデザインが変更になりました。ターボモデルのホイールはクロームメッキの18インチに変わり、後期型の途中からABSが標準装備化されました。

最終型ではさらに大型化したリアスポイラーが装備される他、車重が5パーセントほど軽量化、フロントウインカーがコンビネーションランプとされ、フロントマスクの印象が大きく変わりました。2001年には、「新しく導入された側方衝突規制に適合できない」という理由で、GTOは約10年の歴史に幕を下ろします。一度もフルモデルチェンジを行うことなく、後継車種も登場しないまま、GTOは三菱の歴史から静かに消えることになったのです。

価格の差が大きい中古車市場


出典:ウィキメディア

現在の中古車価格は50万円以下の個体から300万円に届く個体まで、程度の差によってかなりの価格差があります。フルノーマルの低走行車が高値を維持していますが、ある程度の走行距離を重ねたクルマでも、程度によっては買取時に高値が期待できます。

これから購入しようという方は、パーツの手配についてもきちんと考えておきましょう。現状でもかなり多くのパーツがメーカーで欠品となっているので、パーツのストックがあるかどうか、この先どうやってパーツを手配するかも考慮に入れておく必要があります。

正直なところ、三菱・GTOのライバルは同社のランサーエボリューションだったのかもしれません。よりコンパクトで軽く、後席ドアも備えていて、四輪駆動。かつWRCでの好成績も残していたランサーエボリューションは、レースであまり活躍の場のなかったGTOとは対照的でした。

イタリア語の「Gran Turismo Omologato」、レースのGTカテゴリとして公認された車という由来の三菱・GTOは、三菱のモータースポーツへの情熱と最新技術を詰め込んだ、1990年代を代表するクルマとして長く記憶に残っていくことでしょう。

[ライター/守屋健]