玄人好みの端正な2ドアクーペ、マツダ・カペラC2。走りにこだわった限定車「アンフィニ」は超希少!

みなさん、こんにちは!現在も多くの新型車が毎年のように発表されていますが、クルマのジャンルの中で完全に絶滅してしまったのが「デートカー」。かつては多くのメーカーからリリースされていましたが、時代が変わり、2000年を前後に姿を消してしまいました。

多くは2ドアクーペのスタイルを持ち、スポーツカーと呼べるほど高出力のエンジンを搭載しているわけではないものの、バランスの良いハンドリングや流麗なデザイン、そして頑張れば手に届く価格で、当時の若者を中心に高い人気を博しました。

今回紹介するクルマもそんなデートカーのひとつに挙げられていた、マツダ・カペラC2。当時抜群の人気を誇ったホンダ・プレリュードに比べると販売数は伸びなかったものの、スポーティでバランスの取れたデザインと走りは、決して引けを取りませんでした。今回はマツダ・カペラC2の魅力について、改めて紹介していきたいと思います。

ロータリーエンジンを搭載していた初代カペラ

出典:ウィキメディア

マツダ・カペラC2の紹介をするには、やはりベース車両であるカペラの歴史に触れないわけにはいきません。冬の代表的な星座のひとつ、ぎょしゃ座の一等星・カペラがネーミングの由来となっているマツダ・カペラ。初代モデルが登場したのは1970年のことでした。以来32年にわたって、マツダの乗用車ラインナップの中心的存在として君臨していました。

初代カペラは、ファミリアの上位車種として登場。通常のレシプロエンジンを搭載したモデルと、カペラのために専用設計された12Aロータリーエンジンを搭載するモデルの2種類が存在しました。特に、ロータリーエンジンモデルは、最高出カ120PS/6,500rpm(グロス)、最大トルク16.0kgf·m/3,500rpm(グロス)という、当時の日本車としては規格外の出力を誇りました。さらに、最高速度は190km/h(マニュアル車)、0〜400mは15.7秒(マニュアル車)と、最高速度と加速性能についても非常に優れたカタログ値を記録しています。

この素性の良さを生かしてレースに参戦するも、当時国内で敵なし状態だったスカイラインGT-Rに勝つことはできませんでした。大柄なボディと重い車重がネックになったと言われています。

ちなみに、カペラの美点は性能だけではありませんでした。セダン、クーペとともに非常に美しいエクステリアを持ち、室内空間は1クラス上の上級セダンに負けない広さを確保。実用性、運動性、そして外観の美しさを兼ね備えた傑作車だったのです。

その後も順調にモデルチェンジを重ね、途中からロータリーエンジンは採用されなくなってしまうものの、マツダのファミリーカーの屋台骨を支えるモデルとして活躍。タクシーのベース車両としても採用されていきます。

カペラC2のデビューは1987年


出典:ウィキメディア

そして1987年。マツダ・カペラの5代目モデルが登場します。ラインナップは4ドアノッチバックセダン、スポーティな5ドアハッチバックのカペラCG(City Gearの頭文字から)、そしてこの記事の主役、2ドアクーペのカペラC2(Composite Coupeの頭文字から)の3種類。遅れてステーションワゴンと、ライトバンであるカペラカーゴも追加されました。

参考:マツダ・カペラC2買取専門ページ!

カペラは代々2ドアクーペがラインナップされ続けていましたが、この代で初めて「カペラC2」というサブネームが与えられます。エクステリアは、当時のマツダ車の文法に沿って、ルーチェやファミリアと同じく直線基調のデザインとなりました。

外観上の大きな特徴は、なんといっても迫力満点のブリスターフェンダー。特別大きなタイヤを装着しているわけではないものの、このブリスターフェンダーのおかげで、カペラC2のエクステリアは非常に引き締まった印象を与えます。また、薄く低く構えたフロントボンネットから、リアエンドにかけてなだらかに上昇している軽いハイデッキスタイルも特徴的でした。

駆動方式はシンプルにFFのみ。トランスミッションは5速マニュアルと4速オートマチックが用意されていました。ボディのサイズは、4,450×1,690×1,360mmと5ナンバーに収まるサイズ。ホイールベースは2,515mmと比較的長めに取られているおかげで、後席の居住性は意外なほど良好で、大人2人の乗車に耐える広さが確保されていました。車両重量は1,140kg (5速マニュアル車)に抑えられています。

搭載されたエンジンは2種類で、1.8リッターと2リッター、どちらも自然吸気の直列4気筒エンジンと、取り立てて高性能を売りにするエンジンではありません。当初はどちらもレギュラーガソリン仕様で、2リッターモデルは140psを発生。それほど重くはないボディを軽快に走らせました。

電子制御4WSを採用

カペラC2に搭載されたメカニズムで最も特徴的なのが、世界初の電子制御車速感応型四輪操舵(4WS)を採用している点です。ホンダ・プレリュードが機械式の4WSを装備していましたが、カペラC2もそれに負けじとすぐに追随。車速感応型4WSの利点を生かし、どの速度域でも自然なハンドリングを実現しています。

カペラC2のグレード体系は非常にシンプル。1.8リッターの「1800」と4WSと装備した「1800 4WS」、2リッターの「2000」と4WSを装備した「2000 4WS」、そしてその全てに5速マニュアルと4速オートマチックを設定していました。価格帯はおよそ170万円から200万円の間に収まっていて、若者でも手が届く範囲にとどめられているあたり、マツダの良心を感じます。

カペラC2は、ホンダ・プレリュードなど比較される、いわゆるデートカーとして知られてはいましたが、そこは走りにもこだわるマツダ。「デートカーとは言わせない!」と言わんばかりの、走行性能を磨き上げた限定車が存在しました。それが、「マツダ・カペラC2アンフィニ」です。

走りにとことんこだわった限定車「カペラC2アンフィニ」

1987年5月デビューのカペラC2に、限定車「カペラC2アンフィニ」が加わったのは遅れること約1年後の1988年6月。300台の限定生産で、東京地区での販売価格は222万円でした。マツダに「アンフィニ」の名前を冠するクルマが登場したのは、ファミリアとサバンナRX-7に次いで3車種目。前2車と同様に、ハンドリングにとことんこだわった改良が、ほぼ手作業でカペラC2に施されました。

ベースとなったのは2リッターの5速マニュアル車。外観上の変更点は、専用のラジエターグリル、専用のフローティングタイプ・リアスポイラー、そしてBBSホイールと、ごく控えめに抑えられています。このさりげなさも、当時のマニアの心を惹きつけました。

内装に目を移すと、MOMO社製の本革巻きステアリングホイール、本革巻きシフトノブ&シフトブーツを採用し、手に触れる部分の質感を高めています。また、シート地や内装の内張も専用生地となっていて、他グレードとの差別化を図っています。

ここまでの、目で見える範囲の変更点は控えめですが、足回りについての変更点は多岐に渡ります。足回りのフロント部分は、サブフレームにクロスメンバーを追加して補強。リアにはストラットタワーバーに加えパフォーマンスロッドも追加することで、足回りの前後のバランス、そしてボディ剛性を全体的に向上させています。

他にも、アンフィニの前2車でも採用されていた、低圧ガス型のショックアブソーバーや車高が15mmほど低められる専用スプリング、各部のブッシュ類の硬度アップなどが引き続き行われています。さらに、ビスカス式LSDも装備するなど、足回りだけでも相当なコストがかけられていました。

エンジンは、従来の2リッター自然吸気直列4気筒DOHCをレギュラーガソリン仕様からハイオクガソリン仕様に変更。圧縮比も高めることで、従来の140psから10ps増しの150psに強化。最大トルクも17.5kgmから1.3kgm増しの18.8kgmに強化されました。このエンジンは、翌年のマイナーチェンジに先駆けて採用されていて、のちにカペラC2の5速マニュアル車に標準採用されることになります。こうして、カペラC2アンフィニは、知る人ぞ知るFFのベストハンドリングカーに生まれ変わったのです。

「アンフィニ」も標準車も超が付くほどの希少車に

カペラC2アンフィニは、サバンナRX-7の「アンフィニ」とは異なり、バージョン2以降が開発されることはありませんでした。カペラC2アンフィニが現在の中古車市場に出ることはほとんどなく、幻の一台となっています。

カペラC2の標準タイプも、現在の中古車市場に出回っている個体は一台もありません。パーツの確保など維持の難しいクルマではありますが、なぜか所有したいという気持ちを抱かせる、不思議な魅力を持つカペラC2。今後、一台でも多く残っていくことを願うばかりです。それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

[ライター/守屋健]

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