コンパクトスポーツクーペの代名詞、今でも人気のあるトヨタ「スプリンタートレノ」

トヨタのコンパクトスポーツクーペといえば誰もが一度は聞いたことがあるであろうスプリンタートレノ。マンガ「頭文字D」で取り上げられ今でも名車として知られるAE86もスプリンタートレノです。しかしスプリンタートレノはAE86だけではありません。実はスプリンタートレノの歴史は長くAE86は長い歴史の中の一部なのです。今回はスプリンタートレノの歴史を振り返りながらAE86がなぜ名車と言われるのかその秘密に迫ります。

AE86だけじゃないトレノの歴史


出典元:ウィキメディア

まずはスプリンタートレノの歴史から振り返っていきましょう。スプリンタートレノのデビューは1972年。全長3,965mm全幅1,595mm全高1,335mmのコンパクトなサイズに後輪駆動(FR)を組み合わせた5人乗り2ドアクーペ。スプリンタークーペの高性能バージョンとして「トレノ」の名が付され登場したことがスプリンタートレノのスタート。上級車種のセリカから流用された1.6L直列4気筒エンジンを搭載したコンパクトでホットなスポーツモデルがスプリンタートレノなのです。初代スプリンタートレノTE27は1972年~1974年までの2年間の販売で2代目へ移行します。2代目スプリンタートレノは前期のTE47、中期のTE61、後期のTE65の3種類に分類されます。2代目前期TE47は1974年~1975年の短期間のみの販売になってしまいました。全長4,070mm全幅1,600mm全高1,300mm、1.6L直列4気筒エンジンを搭載しFRを継承したコンパクトスポーツモデルでしたが、短命で終了してしまった理由は排気ガスの規制に対応できなかったことが原因。一旦スプリンタートレノの歴史は1975年で途絶え中期モデルとなるTE61が2年後1977年から販売されます。中期モデルは全長4,070mm全幅1,615mm全高1,310mmと前期モデルとほぼ同等のサイズ。

参考:トヨタ「スプリンタートレノ」買取専用ページ!

電子制御燃料噴射と酸化触媒を使うことで排気ガス規制に対応することができ生産が再開されました。1978年からは後期モデルTE65に変更。この変更は新たな排気ガス規制に対応するために型式の変更が行われました。全長4,245mm全幅1,615mm全高1,310mmと中期モデルとほぼ同等サイズでエンジンは1.6L直列4気筒FRを継承しました。初代TE27のようなコンパクトスポーツ性は排気ガス規制の影響などにより車両重量増加が避けられず失われていきました。1979年に3代目TE71へモデルチェンジされ全長4,255mm(トレノS 4,190mm)全幅1,625mm全高1,325mmとサイズが若干アップ。サスペンションの形式変更により操縦性が高くなりコンパクトスポーツとしての素質を取り戻しました。1981年から販売された後期モデルでは豪華装備を装着した「アペックス」などトレノとしての路線変更をしたモデルでもありました。1983年に4代目AE85/AE86にモデルチェンジ。この4代目が後に名車となる「ハチロク」と呼ばれるスプリンタートレノです。世の中のクルマがFFへ移行していく時代にFRを貫きAE86のエンジンは名器と呼ばれる4AG-GE型1.6L直列4気筒を搭載、AE85には3A-U型1.5L直列4気筒エンジンを搭載していました。4代目スプリンタートレノを最後にコンパクトFRスポーツに幕を下ろすことになり1987年から製造販売が開始された5代目スプリンタートレノAE91/AE92では駆動方式をFFに変更、2ドアノッチバッククーペのみのボディタイプで販売されました。1.5Lおよび1.6Lの直列4気筒エンジンを搭載し全長4,270mm全幅1,680mm全高1,300mmのボディサイズによりコンパクトで扱いやすくスポーティーなモデルとして人気となりバブル経済の影響も手伝い販売台数が伸び大ヒット。

1991年にモデルチェンジを行い6代目AE100/AE101に世代交代。全長4,285mm全幅1,695mm全高1,305mmのコンパクトFFスポーティーモデルとして登場。角張ったデザインから丸みを帯びたデザインへ変わったのはこの6代目からです。1995年にモデルチェンジを行い7代目AE110/AE111へ。全長4,305mm全幅1,695mm全高1,305mm先代からメカニズムは受け継いだものの軽量化に成功。これによりスポーティーな走りを実現。1997年のマイナーチェンジには衝突安全ボディの採用により車両重量が増加したもののコンパクトスポーツクーペとしてのポジションを守り抜いてきました。バブル崩壊後クーペモデル販売不振の影響はスプリンタートレノにも波及し2000年に販売が終了しました。以上がスプリンタートレノの歴史です。7世代28年にわたり繋いできたスプリンタートレノは日本の名車として語り継がれる歴史的なモデルとなりました。

名車として語り継がれるAE86


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今でも衰えることのないコンパクトFRスポーツモデルスプリンタートレノ4代目にあたるモデルがAE86/AE85です。1983年にデビューしたAE86/AE85型スプリンタートレノ通称「ハチロク」「ハチゴー」は2ドアノッチバッククーペ、3ドアファストバッククーペ、2ドアコンバーチブルのボディバリエーション。エンジンはAE85には1.5L直列4気筒自然吸気エンジン、AE86には1.6L直列4気筒4AG-GEが搭載されていました。中でもスポーツ志向の高い1.6L直列4気筒エンジン4AG-GEは高回転型で後輪駆動を組み合わせていたこともあり非力なエンジンでしたが軽量なボディと相まって運転する楽しさを味わうことができるパワーユニットでした。そんなAE86を有名にしたのはマンガ「頭文字D」の影響とレーシングドライバー土屋圭市の影響が大きいといえるでしょう。

マンガの主人公が乗っていた車種であったことによって読者に夢や希望を与え、AE86に乗っていたことによってドリフトを極めることができたと土屋圭市が語っているように土屋圭市の人生においてAE86は欠かすことができない存在であることがファンの間では知られています。これらの影響がAE86人気を支えているのは明らかです。また後継車種の5代目スプリンタートレノが前輪駆動になったことで「トヨタ最後のコンパクトFR」と呼ばれるようになり現在でも人気が落ちることがないのです。さらに構造が単純であることもAE86の人気を支える理由のひとつ。単純構造であるため手が加えやすくチューニングのベース車両にはちょうど良いのです。軽量で単純構造のコンパクト後輪駆動スポーツモデルAE86はさまざまな影響を受けて今でも人気が高いのです。

スプリンタートレノに乗るなら


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世代の多いスプリンタートレノですが乗るのであればトヨタ最後のコンパクト後輪駆動スポーツハッチのAE86。グレードは「1.6GT」もしくは「1.6GT APEX」。現在(2019年2月時点)中古車が10台前後と限られた台数しか出回っていません。価格は130万円~300万円以上と年数が経過した現在でも高値で推移しています。それほど人気が高いモデルとなっていますがスプリンタートレノ=AE86という憧れを叶えられるのは残りわずかです。今後は個体数が減っていく一方ですのでAE86に乗りたいのであれば今がラストチャンスといえるでしょう。流通している個体のなかには修復歴が無い個体も存在しています。修復歴は無い方が本来の走る楽しさを十分に味わうことができます。さらにMTモデルであれば操る楽しさも併せて体感できるためMTモデルがオススメです。

〈オススメまとめ〉
・4代目AE86スプリンタートレノ
・修復歴なし
・MTモデル

コンパクトスポーツの魅力


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トヨタはAE86のように愛され育てられるスポーツカーとして2012年に「86」を販売。スポーツカーとしては小ぶりなサイズですがAE86のようなライトウェイトスポーツハッチではないため「ハチロク」ではないとの声もあります。BセグメントハッチバックやCセグメントハッチバックサイズの小気味良いMTモデルとしてトヨタではヴィッツGRがラインナップされています。エンジンを回しきる楽しさや引っ張ってからシフトアップする楽しさはコンパクトなボディにコンパクトなエンジンの組み合わせが最適と言えるでしょう。AE86やヴィッツGRはまさにコンパクトボディにコンパクトエンジンの組み合わせです。トヨタではスポーツサブブランドとしてGRを立ち上げスポーツモデルの強化に取り組んでいます。そのひとつにヴィッツが含まれており走る楽しさを追求したコンパクトカーとしてヴィッツGRがラインナップされています。AE86を手に入れるのも良いですがヴィッツGRのような現代のホットハッチも良いモデルです。今後もAE86のライトウェイトコンパクトスポーツの存在を忘れることなくヴィッツGRのようなコンパクトスポーツモデルをラインナップし続けてほしいですね。

[ライター/齊藤 優太]