2005年、レクサスブランド日本導入時にレクサスSCとして導入されたラグジュアリークーペコンバーチブルが2010年に生産が終了し、これ以降レクサスにはブランドを象徴するクーペラインナップがありませんでした。2012年、高級車ブランドとして一目でレクサスとわかる新たなデザインアイコン「スピンドルグリル」が導入され、その後レクサスのCMで少しずつRCが姿を表し始めました。ついに、2014年、レクサスRCがデビュー。レクサスブランドとしては4年ぶりに加わったクーペラインナップがRCです。
高級車ブランドのアイコン
高級車ブランドのアイコンとしてクーペは重要な役割を果たします。ブランドを表す象徴、ブランドの代名詞、ブランドイメージなどブランドを印象付ける役割を担っているのです。大きめのスピンドルグリル、L型に光るポジショニングライトとテールライト、小型3眼LEDライトなどレクサスブランドを象徴するアイコンが多く取り入れられたエクステリアデザイン。低く緩やかなカーブを描くボンネット、Aピラーからトランクにつながる半円型のルーフライン、張り出しを強調した前後フェンダーなどクーペらしいスタイル。水平基調のソフトパッドを使ったダッシュボード、大きめのニーパッド、一体感のあるナビ画面やスイッチ類、サイドサポート・ショルダーサポート付スポーツレザーシートなど質の良いマテリアルを使ったインテリア。高級車としての質感とブランドアイコンを見事に調和させたクーペがRCです。筆者自身、スピンドルグリルが一番似合うレクサスだとRCデビュー登場時に思ったほどです。
RCのテーマは「アバンギャルドクーペ」、開発陣は「純粋にカッコいいクルマを目指した」と話し、今までの開発手法の枠を取り払い、ユーティリティのことを気にするのは止め、純粋にFRの楽しさを追求するために社内で常識とされていた枠を外してとにかく楽しさを追い求めるという新たな手法を取り入れたと開発責任者自ら話をしています。「もっといいクルマを作る」ために社内ルールの枠を取り外した新生レクサスがRCだったのです。この決断が見るものを魅了し誘惑するデザインへとつながり、エモーショナルな走りをイメージさせるエレガントクーペRCを誕生させ、レクサスブランドのイメージを大きく変えたといっても過言ではありません。
RC=Radical(先進の) Coupe(クーペ)の名にふさわしいレクサスの先進を表すクーペがレクサスの2ドアクーペRCという存在です。実はこのクルマの裏にはもうひとつの車種開発が隠されています。そう、レクサススポーツモデル「F」。RCにはスポーツモデル「RC F」が存在します。開発当初からRC Fを念頭に開発が行われたRCのボディ剛性は高く、そのまま「F」に流用できるほどのポテンシャルを持っています。よって、RCはガッチリとしたボディと安心感のある乗り心地の良いエレガントクーペとなったのです。4年ぶりに復活したレクサスブランドアイコンクーペRCは新生レクサスのスタートでもありレクサスの開発手法すら変えた革新的なクーペなのです。
エレガントクーペRCには豊富なバリエーションがある
レクサスの将来を背負って誕生したエレガントクーペRCには豊富なバリエーションがあります。マイナーチェンジ後のラインナップも含めて紹介します。2014年RC登場時には3.5Lガソリンエンジンモデル「RC350」と2.5Lハイブリッドモデル「RC300h」をラインナップ。それぞれにスポーツグレード「Fスポーツ」も合わせて設定。2015年、2.0Lターボエンジンモデル「RC200t」を追加。2017年、改良と特別仕様車リリース。改良により2.0Lモデル「200t」を「RC300」へ変更。またレクサスの予防安全パッケージ「Lexus Safety System+」を全車標準装備。2018年、マイナーチェンジ。エクステリアおよびインテリアデザイン意匠の変更、空力性能改善、足回りの改良で走りの質を向上。
〈RC350〉
RC350はV6 3.5Lガソリンエンジン。筒内噴射とポート噴射を組み合わせた燃料噴射システム「D-4ST」を搭載。トランスミッションは最短0.2秒でシフトチェンジが完了する8速オートマチックトランスミッションが組み合わされます。2017年の改良では燃費性能に優れる「2GR-FKS」エンジンへと変更。
〈RC300h〉
2.5Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせたレクサスハイブリッドシステム搭載モデル。力強いモーターのアシストでスポーティーでありながらも低燃費。環境性能と運動性能を併せ持つ定評のあるハイブリッドシステムです。組み合わされるトランスミッションは電気式無段階変速機。
〈RC300〉
レクサスのダウンサイジングターボエンジンとして登場したRC300。2.0L直列4気筒直噴ターボエンジン搭載。ツインクロスターボチャージャー、可変バルブ機構「Dual VVT-iW」、直接燃料噴射機構技術「D-4ST」を採用し、低回転から太いトルクを発生させます。ターボラグはなく、あたかも大排気量自然吸気エンジン車のような自然な乗り味が特徴。組み合わされるトランスミッションは8速オートマチックトランスミッション。
〈Fスポーツ〉
レクサスのスポーティーグレードとして用意されている「Fスポーツ」。専用エクステリア、専用インテリアが与えられ、RCの持つエレガントでスポーティーなスタイルをより強調するオプション。具体的には、専用スピンドルグリル、専用ウィンドウモール、専用エンブレム、専用ホイール、専用スポーツサスペンション、専用ディンプル本革ステアリング、専用ディンプル本革シフトノブ、専用アルミペダル・フットレスト、専用スカッフプレート、専用本革スポーツシート、専用液晶メーターなどが装着されます。またグレードによって装備できるFスポーツ専用オプションも用意しています。
オススメグレードはこれ!
さまざまな組み合わせができるRCですがオススメグレードは「RC300 Fスポーツ」です。2.0Lダウンサイジングターボエンジンを搭載したモデルのFスポーツは、走り、内装や質感、ランニングコストの観点からも維持がしやすいエレガントスポーツクーペ。RCラインナップの中でもエントリーグレードとして位置づけられている「RC300」の新車本体価格で556万円~となっています。オプションのFスポーツを装着しても手か届かない価格にはならないところがポイント。またFスポーツはリセールバリューが良いため手放すときにも有利になるオプションです。
中古車情報を見てみると「RC300 Fスポーツ」(旧RC200t Fスポーツ)は3年落ちでも400万円以上のプライスが掲げられています。中古車でも高値で買い取られる理由としてレクサスの塗装技術も影響しています。レクサスの塗装は多層構造になっているため深みのある艶やかな塗装が長持ちするような技術が取り入れられています。よって、中古車であってもコーティングを再施工するだけで新車のような輝きを取り戻すことも可能です。写真や動画ではわからない部分ですのでぜひ機会があればレクサス店や買取店へ足を運んでみてください。
RCのアドバンテージ
レクサスのブランドアイコンの役割を担っているクーペRC。世界を相手にしているだけあって気合いの入った作り込みがされています。特にヨーロッパ車にライバルが多く、メルセデス・ベンツEクラスクーペ、Audi A5、BMW4シリーズクーペなど競合たちが多く存在しています。そんなライバルが多く存在するカテゴリーに挑んだレクサスRCのアドバンテージは走りや外装・内装の質感だけでなく、日本車という安心感と信頼感、品質の良さ、アフターケアやアフターサービスの充実です。レクサスは顧客満足度も高く、J.D.パワー顧客満足度調査でも10年以上連続でナンバー1を獲得しています。日本の「おもてなし」が世界に認められている証拠ですね。所有する満足度の高いクルマでもあり所有した後の満足度も高いクルマがレクサスでありRCなのです。
[ライター/齊藤 優太]