日本のみならず世界各国で注目されているトヨタのスポーツカー「スープラ」。新型スープラはすでに海外では予約が開始され、2019年はじめ頃から順次販売していくと公表されています。かつてトヨタから販売されていたスープラはいまだ高い人気を誇りその人気は衰えていません。特に「A80」と言われているスープラは中古車でも新車が買えてしまうほどの高値で取引されています。では、スープラがなぜ生産が終了した今でも人気なのか、新型スープラはどんな車なのか、スープラの過去、現在、そして次期スープラの最新情報をまとめました。
トヨタスープラとは?
出展:ウィキメディア
トヨタスープラは1978年から2002年まで販売されていたスポーツカー。「スープラ」という車名はもともと日本で販売していた「セリカ」の海外向け車名でした。日本でも「スープラ」の車名が使われるようになったのは1986年から販売された「A70型」からです。直列6気筒エンジンをフロントボンネットに収め後輪を駆動させることにこだわっていたスープラ。排気量は2.0Lから3.0Lと幅広いラインナップを取り揃えていましたがいずれも直列6気筒エンジン。直線基調のデザインとリトラクタブルヘッドライトが特徴的な初代スープラは1993年まで生産されました。1993年「A80型」へフルモデルチェンジ。3.0L直列6気筒、後輪駆動を継承し丸みを帯びたデザインへガラッと変更。A80型では重量物をなるべく中心に集めるレイアウトと空気の流れを考えた流線形デザインによりレーシングカーやチューニングカーのベースに車両として使われ、スーパーGTへの参戦や耐久選手権へ参戦し輝かしい成績を納めました。チューニングカーのベースとして使えるほどのボディ剛性の高さ、スープラに搭載されていたトヨタ製直列6気筒エンジンの耐久性の高さからエンジンチューニングを施しハイパワー車両にする人たちも続出。車両重量は決して軽くないものの重量バランスを考えられたパッケージとボディ剛性、ハイパワーチューニングが可能な耐久性の高いエンジンを持つスープラは走り好きを虜にしました。
A80型スープラ人気グレード
A80型スープラのグレードは大きく分けると2つに分けることができます。3.0L直列6気筒自然吸気エンジンを搭載した「SZ」系と3.0L直列6気筒ツインターボエンジンを搭載した「RZ」系または「GZ」の2種類。今でも人気が高く高価格で取引されているのはツインターボ搭載モデルの「RZ」系。「RZ」系はツインターボエンジンにゲトラグ社製6速MT、または4速ATを組み合わせた走行に特化したグレード。「GZ」はツインターボエンジンにエアロトップ(取り外し可能な屋根)、本革シート、ウッドパネルなどを装備したラグジュアリー志向のグレードでしたが販売から数年でカタログ落ちしました。自然吸気エンジン搭載の「SZ」系は5速MTもしくは6速MTに加え4速ATも選択可能なグレード。中古車情報を見てみると、ツインターボエンジン搭載の「RZ」系グレードはカスタマイズされている車両の場合350万円以上のプライスが掲げられているものも多く見られます。一方、自然吸気エンジン搭載の「SZ」系グレードは200万円を越える車両もあれば150万円を下回る車両もあります。A80型スープラの生産販売が終了して15年以上経過していますが100万円以上の車両が多く、グレードやカスタマイズ次第で400万円以上の価格で取引される車両まであるのは驚きです。それほどボディ、エンジン、パッケージに優れているという証拠であり走り好きを満足させることができるトヨタ史に残るスポーツカーということなのです。
スープラおすすめグレードは?
トヨタが製造していた人気スポーツカースープラにどうしても乗りたい。どうしても欲しいときどのスープラにすればいいのでしょうか。もちろん人気の高いツインターボ搭載の「RZ」系やチューニングされ尽くしたコンプリートカーも良いのですが、今回おすすめするのはちょっと意外かもしれませんが自然吸気エンジンの「SZ」。この「SZ」をオススメするのには理由があります。
〈おすすめ理由1.素の状態を知る〉
今や貴重なトヨタ製直列6気筒エンジン。直列6気筒はBMWの「シルキーシックス」に代表されるようにスムーズな回転フィールが特徴。ターボでなくてもアクセルを踏んだらその分だけエンジンの回転が上がり車を押し出してくれる感覚は直列6気筒エンジンと後輪駆動が成せる術。これだけでも十分ですが、重量物を中心に寄せ集めたパッケージによりステアリングを切ったら切った分スッと車が向きを変えてくれるハンドリングの良さもスープラの持ち味。直列6気筒の滑らかな回転フィール、後輪駆動の押し出し感、パッケージによる素直なハンドリングを知るのであれば「SZ」でも充分に感じられます。
〈おすすめ理由2.カスタマイズを楽しむ〉
素の状態を知り、スポーツカーの良さを楽しむことができるようになってくると、もっとパワーアップしたい、コーナリング特性を良くしたいなど自分好みの仕様にしたくなってきます。スープラ「SZ」であれば素の状態からのカスタマイズになるため自分自身でどのように変化したのかを知ることができます。エアロパーツの効果、タイヤの変化による特性の違い、サスペンションのセッティングやチューニングによるコーナリングの変化、吸排気系の変更によるエンジン回転の変化などは自然吸気エンジンを搭載した「SZ」だからこそわかる部分でもあります。スープラのカスタマイズをすることでスープラとともに自分自身の運転も上達し車への知識がより一層深くなります。共に成長することができる車がスープラ「SZ」なのです。
〈おすすめ理由3.価格〉
これが一番のポイントかもしれません。スープラは中古車市場でも珍しく価格が高騰している車種です。上級グレードにあたるツインターボエンジン搭載モデル「RZ」系は状態が良ければ300万円を越え個体によっては400万円以上のプライスの車両もあるほどです。新車と同等の価格帯である「RZ」系は手を出しにくいと考える方も多いでしょう。その点、自然吸気エンジンの「SZ」であれば一部200万円を越える個体もありますが、修復歴なし、ノーマル状態に近い車両であれば150万円を下回る価格で出回っています。150万円前後であれば手が届きやすく、修復歴が無くノーマルに近い状態であるため先ほど述べてきた「素の状態を知ること」や「カスタマイズを楽しむ」こともできます。これらの理由からスープラを手に入れるのであれば自然吸気エンジン搭載の「SZ」がオススメです。トランスミッションは5MTもしくは4ATが「SZ」には存在します。やはり運転の楽しさ、エンジンを回す悦びを感じられるのは自分の意思でギアを変えられるMT。状態の良い好条件の「SZ」5MTに出会えるかどうかは運とタイミング次第です。
スープラ今後の動向
先にもお伝えしたように2019年から順次新型スープラを販売していく意向をトヨタが公式発表しています。すでにテスト走行やカモフラージュ車両の目撃情報、共同開発しているBMW Z4の先行情報など新型スープラに繋がる情報が徐々に公開されてきています。一般的に新型モデルが販売されると中古車市場にも影響し動きが出てきます。スープラの場合、先代スープラ(A80型)がトヨタオリジナルだったのに対し新型スープラはBMW Z4と共同開発です。よって、新型スープラは過去のスープラと根本が大きく違います。このことからも新型スープラの販売が開始されても中古車市場にはさほど影響がないと予想することができます。
新型スープラの最新情報
少しずつ公開されてきた情報、姉妹車のBMW Z4の情報、世界各地での目撃情報など新型スープラの姿が徐々に明らかになってきました。2018年だけでも3月のジュネーブモーターショーにて「GR Supra Racing Concept」の公開、7月にはイギリスのグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにてスープラプロトタイプの走行が行われ、直列6気筒エンジンに後輪駆動であることや2012年から開発がスタートしていること、A80型スープラの要素を取り入れているなどトヨタ多田チーフエンジニア自らが話しています。10月には2019年1月に開催されるデトロイトモーターショーにて新型スープラを初披露することを発表すると同時に2019年前半より順次世界各国で販売することを公言しています。スープラの復活、直列6気筒エンジン後輪駆動を継承、A80型スープラに敬意を払いスープラらしさを追及している新型の動向も楽しみですね。
[ライター/齊藤 優太]