2代目NB型ロードスターのモデル後半に設定されたクローズドタイプが「ロードスタークーペ」。その魅力に迫る

ライトウェイト2シーターオープンスポーツカーを代表しギネス記録までも保持している日本のオープンスポーツカーロードスター。2代目NB型ロードスターのモデル後半に設定されたクローズドタイプがロードスタークーペです。2代目NB型でハードトップルーフタイプの追加により後の3代目NC型ロードスターRHTや4代目ND型ロードスターRFに繋がったといっても過言ではないでしょう。今回はロードスターの新しい世界を開拓したクローズドボディであるロードスタークーペについて詳しく解説していきます。

2代目ロードスター新境地開拓

ロードスタークーペが設定されたのは2代目NB型ロードスターです。2019年時点では後にも先にも完全クローズドボディタイプのロードスターが設定されたのは今回詳しく解説していく2代目ロードスタークーペのみ。ロードスターの実力やクローズドボディが実現した経緯を順に辿りロードスタークーペの魅力に迫りましょう。

〈2代目NB型ロードスター〉

2代目NB型ロードスターは1998年に初代NA型ロードスターから初めてモデルチェンジされ登場しました。初代で切り開いたライトウェイトオープンスポーツカーの軽快なドライブフィールと運転の楽しさを受け継いだ2代目NB型ロードスターは初代モデルNA型と基本コンポーネントを共用していますが若干のボディサイズの変更がされました。デザインは緩やかな曲線で描かれるグラマラスなボディライン、伸びやかで角のとれたボディパネルによりエレガントなイメージが向上。1.6Lと1.8Lの排気量違いの直列4気筒エンジンを縦置きに搭載し後輪を駆動させるFR方式はロードスターの伝統。初代に比べボディの補強が多くされたことにより重量が増加してしまいましたがグラム単位での減量により1000kgを下回ることはできなかったものの大幅な重量増加を避けることに成功。その後、安全性の向上に関するマイナーチェンジや排ガス規制に関するマイナーチェンジを行いながら2代目NB型ロードスターは歴史を繋いでいき、2003年ついにロードスターのクローズドボディタイプのロードスタークーペがリリースされました。

〈ロードスタークローズドボディ実現の裏話〉

2003年2代目NB型ロードスター時代のモデル末期に初めてクローズドボディタイプのロードスターが追加されました。しかし、ロードスターのクローズドボディ化いわゆるクーペ化の計画は初代NA型ロードスターからあったと言われています。その理由はマツダのグループ会社であるM2が初代NA型ロードスターをベースに市販化を視野に入れたクーペ「M2 1008」を試作していました。このプロトタイプM2 1008が市販されることはなかったものの、なだらかに傾斜するルーフライン、Cピラー、サイドウィンドウ形状などが後に市販された2代目NB型ロードスタークーペにそっくりなのです。この事からも初代NA型ロードスター時代からクーペの開発は進められ初代NA型ロードスターをベースとしたプロトタイプM2 1008が2代目NB型で市販されたロードスタークーペに影響を与えたのは確かでしょう。

初代NA型ロードスターで叶えることができなかったロードスタークーペの市販化を実現したのはマツダの100%子会社であるマツダE&T(エンジニアリングアンドテクノロジー)です。マツダE&Tの少量生産モデル開発技術を活用することによりクーペモデルの製造販売の目処が立ちました。こうしてついに念願であったロードスタークローズドボディタイプのロードスタークーペの販売が2003年から開始。ロードスタークーペは完全受注生産方式としグレードの一部は台数限定生産として市販されました。

参考:ロードスタークーペ買取専用ページ!

〈ロードスタークーペの魅力〉

市販化が実現したロードスタークーペは全長3,955mm全幅1,680mm全高1,240mmと全高が5mmアップしただけでその他のサイズはソフトトップのロードスターと変わりません。大きな違いはベルトラインよりも上の上半身部分。ハードトップのクローズドボディになったことでルーフラインが滑らかになりサイドウィンドウが流れるような流麗な形状になりました。プロトタイプM2 1008ではCピラーにあたるクォーターピラーが太めでしたが市販化されたNB型ロードスタークーペのクォーターピラーは細く繊細なルーフラインを描いています。フロントまわりはグレードによりデザインが若干異なりますがリアまわりはオープンタイプのロードスターとほぼ同じ。クローズドボディタイプになっても重量の増加は10kgで留まっているためロードスターの持ち味である軽快なスポーツドライビングは損なわれていません。ロードスタークーペはハンドメイドでモデリングされ製造していたためこれほどにまで美しく流麗なスタイルを生み出すことができました。

当時、国産車で唯一の5ナンバーサイズの2ドア2シータークーペということもあり運転のしやすさや取り回しの良さもロードスタークーペの特徴でもあります。クローズドボディ化にあたり車体構造の見直しが行われボディ剛性強化も施されました。ロードスタークーペのグレードはベースの1.6L直列4気筒エンジンに5速MTを組み合わせた「ロードスタークーペ」、1.8L直列4気筒エンジンに6速MTを組み合わせた「type S」、伝統的なレースカーを思わせるオーセンティックなフロントデザインと1.8L直列4気筒エンジンに6速MTを組み合わせた200台限定の「type A」、落ち着きのあるエレガントなフロントデザインが特徴で1.8L直列4気筒エンジンに4速ATを組み合わせた150台限定の「type E」の4タイプのバリエーションを展開。専用装備が与えられ台数限定の「type A」と「type E」はカーボン製パーツやFRPを使ったオリジナルデザインパーツが装着され、ボディカラーが「ライトニングイエロー」「ベロシティレッド」の2色。

一方、「ロードスタークーペ」と「type S」のフロントデザインはベースモデルであるNB型ロードスターと共通、ボディカラーは「ピュアホワイト」「サンライトシルバーメタリック」「クラシックレッド」の3色。インテリアはベースモデルのNB型ロードスターと基本的に同じですが「type E」に関してはツートーンカラーのインテリアが暖かみのある落ち着いた空間を演出しています。どのモデルでも美しくうっとりするようなクーペフォルムを手に入れることができるためどのグレードでもロードスタークーペの魅力を感じることができます。

ロードスタークーペに乗ることはできるのか?!

ロードスタークーペの販売が開始されたのは2003年、2代目NB型ロードスターの生産終了は2005年つまりロードスタークーペはわずか2年間しか生産されなかったということになります。また2004年に発生したマツダの工場火災でロードスターの生産が減少したことが影響しそもそも生産台数が多くありません。よって中古車市場にもなかなか出回ることがないモデルでもあります。現在(2019年3月時点)の中古車情報を見てみるとわずか数台ではありますがロードスタークーペの中古車が流通しています。

一般的な中古車両本体価格は140万円~300万円程度、台数限定モデルが高価格で取引されている傾向が見受けられます。エレガントなフォルムのロードスタークーペのオススメは「ロードスタークーペ type S 6速MT」モデルです。ロードスターの軽快なハンドリングを楽しむことができ、クローズドボディ化による重量増加の影響を考えると1.8L直列4気筒エンジン搭載の方が良いでしょう。6速MTを搭載しているため操る楽しさもか兼ね備えています。同じ1.8L直列4気筒エンジンを搭載し6速MTを組み合わせているグレードは「type A」もありますが台数限定ということで「type S」よりも割高になる可能性もあります。手軽にロードスタークーペの魅力を味わうのであれば「type S」がオススメです。

〈オススメまとめ〉
・グレード「type S」
・修復歴無し

ロードスタークーペで切り開いたハードトップルーフロードスター史

さまざまな災難に巻き込まれながら2代目NB型ロードスターは生産され、ロードスタークーペも生産されました。ロードスタークーペで切り開いたハードトップタイプのロードスターはロードスタークーペだけで終わることなく3代目NC型ロードスターへ受け継がれました。3代目NC型ロードスターでは電動格納式ハードトップルーフを持ちフルオープンになる「ロードスターRHT」として登場。4代目ND型ロードスターではハードトップルーフを持ちタルガトップになる「ロードスターRF」を誕生させました。ソフトトップのロードスターにはない魅力を持つハードトップのロードスター。ハードトップの殻に包まれているような安心感、雨の音、風の感じ方などはハードトップならではの特徴があります。エレガントなクーペからスタートしたロードスターのハードトップラインナップは3代目NC型ロードスターRHTや4代目ND型ロードスターRFに継承され、ライトウェイトコンパクト2シータースポーツカーの新しい価値観を生み出しました。2代目NB型ロードスタークーペで作られたハードトップの美しい世界観は現在でもハードトップタイプのロードスターに受け継がれています。

[ライター/齊藤 優太]