コンパクトFFスポーツのポジションを確立した「三菱 エクリプスクーペ」は今でも語り継がれる名車

エクリプスと聞いて2019年現在でイメージすることはクロスオーバーSUVのエクリプスクロスだと思いますが、エクリプスを名乗る車種がかつて三菱から販売されていました。それは2ドア4シータークーペのエクリプスクーペです。クーペとして販売されていたエクリプスは単に「エクリプス」という名で出回っていました。(ここではエクリプスとエクリプスクロスを区別するためエクリプスクーペと記載します。)初代エクリプスクーペは1989年に誕生。北米市場をメインターゲットとしたコンパクトな前輪駆動クーペがエクリプスクーペです。

1994年には2代目が登場し派生車種のオープンカーエクリプススパイダーが生まれました。1999年に趣向を変え高級感を高めたコンパクトクーペへ変化を遂げ、2005年に最終モデルの4代目へモデルチェンジを行い2012年まで販売されていたコンパクトスポーツカーがエクリプスクーペです。今回はエクリプスの元祖であるエクリプスクーペについて詳しく見ていきましょう。

コンパクトスポーツ、エクリプスクーペ

初代エクリプスクーペは三菱スタリオンや当時提携していたクライスラーのスポーツクーペの後継車種として開発されました。三菱製前輪駆動モデルのプラットフォームを使ったコンパクトクーペは全長4,395mm全幅1,690mm全高1,320mmのコンパクトサイズ。低く長いボンネット、なだらかなルーフライン、横長のライトデザインがスポーツカーらしさを演出していました。デビュー当初はリトラクタブルヘッドライトが採用されていましたが、初代モデルの後半から固定式に変更。2ドア4シーターのコンパクトスポーツクーペ初代エクリプスクーペは前輪駆動と四輪駆動をラインナップ。エンジンは直列4気筒1.8Lと直列4気筒2.0Lを用意。特にDOHCを採用した直列4気筒2.0Lターボモデルはパワフルでパフォーマンスに優れていたため北米に人気のモデルとなりました。またスタリオンと同様にディーラーにてガルウィング仕様に変更することができたのも人気を支える要因のひとつだったといえるでしょう。北米をメインターゲットにしていたもののわずかながら日本にも導入されました。日本での販売は1990年一部グレードのみ日本の保安基準に適合するよう仕様を変更して輸入されました。

映画にも登場した2代目


出典元:ウィキメディア

1994年フルモデルチェンジが行われ2代目へバトンタッチします。前輪駆動モデルのプラットフォームを使ったコンパクトスポーツクーペのコンセプトは変えず全長4,395mm全幅1,745mm全高1,295mmと全幅を若干拡大し全高を下げ初代モデルよりもワイドでローなスタイルとなりました。デザイン面での変更が大きく、カーブや曲面を使い丸みを帯びた柔らかな造形、ボリュームのあるリアまわりによりボディサイズを越えた存在感があります。流麗なフォルムを身に纏った2代目エクリプスクーペには直列4気筒2.0Lと直列4気筒2.4Lが用意されいずれも前輪を駆動させます。1996年にフェイスリフトが行われると同時にオープンモデルのスパイダーを追加。

参考:三菱 エクリプスクーペ買取専用ページ!

1999年に特別仕様車をリリース。しかし、方向性を変えバリエーションを増やした2代目エクリプスクーペは販売期間中さほど人気のあるモデルではありませんでした。1999年に2代目エクリプスクーペの生産は終了することとなりましたが、2001年に公開された映画「The Fast and the Furious(邦題:ワイルドスピード)」で登場したことにより製造終了後に一躍人気の車種となりました。日本への導入は1995年、モノグレードが輸入販売されました。

エクリプスらしさ溢れる3代目

映画で話題となる前にエクリプスクーペは3代目へフルモデルチェンジをしています。1999年に行われたフルモデルチェンジではエクリプスクーペらしさがあるデザインへ変更。なだらかなカーブを使った面で構成されるボディパネル。離れ目のヘッドライト、困ったような表情のフロントフェイス、水平に伸びるベルトライン、目力の強いリアコンビライトなどコンパクトながら存在感のあるデザインとなりました。インテリアはシンプルで左右対称の造形。運転に集中することができる環境とスポーツドライビングを支えるドライバーズシートとパッセンジャーシート、手荷物を置く程度ではありますがリアシートを備えています。インテリアの品質は全体的に向上し高級感を漂わせる雰囲気へ質感を上げました。トランクスペースの容量は必要にして十分なスペースがあり日常での使い勝手や大人2人分の宿泊荷物であれば積載することが可能なほどのスペースを確保しています。全長4,515mm全幅1,760mm全高1,355mmと全体的に若干のサイズアップ。

エンジンはV6 3.0Lを搭載し余裕のあるパワーを前輪に伝えクルマを引っ張ります。2000年に2代目同様にオープンモデルのスパイダーもラインナップ。コンパクトラグジュアリーオープンカーとしてのポジションを確実なものにしていきます。2001年に映画「ワイルドスピード」が公開され2代目エクリプスクーペが活躍しコンパクトスポーツクーペとしての地位を確かなものとしました。日本にはオープンモデルのスパイダーが日本の保安基準を満たす手直しだけが行われ、ほぼ北米仕様の状態(左ハンドルのまま)で輸入されました。オープンモデルスパイダーの北米デビューからかなり遅れて輸入され、わずかな期間(2004年~2006年)のみ日本市場で販売されました。

日本未導入の4代目

2005年にフルモデルチェンジが行われ4代目となりました。デザインは3代目のデザインを進化させより丸みを帯びた造形へ進歩。離れ目、伸びやかなサイドライン、曲面を使ったボディパネル、ボリュームのあるリアスタイルなど3代目で築き上げたエクリプスクーペらしさを継承。前輪駆動を採用するのは3代目と変わりませんが、エンジンをサイズアップ。3.8L V6エンジンと2.4L直列4気筒の2種類を用意。クーペの登場から2年後2007年にオープンモデルのスパイダーをリリース。

4代目エクリプスクーペおよびエクリプススパイダーは北米専用モデルとなり日本に導入されることはありませんでした。エクリプス史上最も大きい排気量のエンジンを搭載した4代目エクリプスはスパルタンなドライビングが北米市場で受け入れられ人気が上昇。2009年にはより洗練されたデザインへフェイスリフトを施しスポーティーな印象が強まりました。北米のレースシーンでは前輪駆動部門で活躍し好成績を残しました。日本で三菱のスポーツカーといえばランサーエボリューションのイメージが強いですが北米ではランサーエボリューションと並んで三菱を代表するスポーツモデルとして人気を博していたエクリプスクーペ。2011年に三菱が経営方針の変更を発表し、2012年にエクリプスクーペの生産が静かに幕を閉じました。

オススメはどれ?

コンパクトFFスポーツのポジションを確立した三菱エクリプスクーペ。日本に輸入されたのは初代から3代目モデルまでです。3代目に関してはオープンモデルのエクリプススパイダーだけが輸入されました。日本市場で販売されていたエクリプスクーペは左ハンドルであることや日本におけるクーペ市場つまり2ドアモデルの販売が難しいこともあり日本の道路でエクリプスクーペを見つけ出すことは至難の技。中古車情報を見てみると十台程度の個体が流通していますが、そのほとんどが2代目モデル。一般的な中古車両本体価格は30万円~90万円程度が多く、10年以上が経過し修復歴がある個体であっても高価格で取引されています。わずかな個体の中でオススメは走行距離が短く、年式が新しい車両がオススメ。修復歴がなく4速ATモデルが良いでしょう。

〈オススメまとめ〉
・2代目エクリプスクーペ
・走行距離が短く、高年式(年式が新しい)
・4速AT
・修復歴無し

エクリプスクーペが作り上げた世界


出典:ウィキメディア

北米において三菱を代表するコンパクトスポーツクーペの地位にまで登り詰めたエクリプスクーペ。コストパフォーマンスに優れ、上質でありながらもスポーツドライビングを楽しむことができる手頃なスポーツカーです。現在、三菱にスポーツモデルはラインナップされていませんがランサーエボリューションに並ぶコンパクトスポーツカーエクリプスクーペが作り上げたコンパクトスポーツカーの世界は日常的にスポーツドライビングを楽しむことができる世界観を持っています。また映画の中で使われ世界的に知られるようになったこともエクリプスクーペを名車に格上げした要因のひとつ。これらの事実は今後も色褪せることなく語り継がれることでしょう。

[ライター/齊藤 優太]