ボディ剛性の高さと高回転まで回るエンジンが魅力!三菱のスポーツFFクーペ「FTO」

みなさん、こんにちは!今回は1990年半ばから2000年にかけて生産されていたスポーツクーペ、三菱FTOをご紹介します。「この運動神経は、ただ者じゃない」という印象的なキャッチコピーと、かなり過激な歌詞が特徴のFLYING KIDSによるCM曲、「セクシーフレンド・シックスティーナイン」で、お茶の間にも広く知られる存在となりました。この記事では、三菱FTOの魅力に改めて迫るとともに、中古車市場でのおすすめグレードもご紹介していきたいと思います。

ルーツはギャランクーペFTO


出展:ウィキメディア

三菱自動車において、初めてFTOの名前が冠されたのは1971年のこと。ギャランGTOの弟分として登場し、よりコンパクトな2ドアスポーツクーペとして人気を博しました。ギャランGTOに比べると、短く、幅が広いワイドトレッド&ショートホイールベースが際立つデザインとなっています。ギャランFTOは、1975年には後継車「ランサーセレステ」の登場により生産を終了。以降19年の間、FTOの名前を冠したモデルは登場しませんでした。

その後、1994年に「FTO」が登場します。ギャランFTOの特徴でもあったワイドトレッド&ショートホイールベースといった特徴はそのまま引き継がれ、その独特のスタイリングも相まって、市場からはかなりの注目を集めました。同じく斬新なデザインのFF2ドアクーペで、ライバルと目された「クーペ・フィアット」にちなんで和製クーペ・フィアットと呼ばれることもありましたが、クーペ・フィアットのデビューも同じく1994年のこと。ほぼ同時期のデビューなので、デザインを参考にすることはあり得ず、各部のデザインは偶然似てしまったと考えるべきでしょう。当時のデザインの主流から外れた、日本車離れしたデザインは多くの人に衝撃を与えました。

車名のFTOは、英語のFresh Touring Originationの頭文字を取ったもので、翻訳すると「若々しいツーリングカーの創造」という意味になるでしょうか。ギャランFTOの由来は、イタリア語でFresco Turismo Omologateとされていましたから、少なからず共通点は感じられますね。

参考:三菱のスポーツFFクーペ「FTO」買取専門ページ!

ちなみに、同時期に兄貴分のスポーツカーとして「GTO」が販売されていたことも、ギャランFTOとギャランGTOとの関係性と似ているところがあります。一方で、海外にも輸出されたGTOとは異なり、FTOは日本だけの国内販売車として販売されていました。もちろん、並行輸入によって海外に出ていったクルマも少数存在します。

エンジンは3種類がラインナップ


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FTOの駆動方式はFFのみで、四輪駆動の設定はありません。エンジンの種類は、1.8Lの直列4気筒DOHCエンジン、2.0LのV型6気筒DOHCエンジン、そして可変バルブタイミング機構「MIVEC」を搭載した2.0L・V型6気筒エンジンの3種類が用意されていました。

最高出力は1.8Lモデルが125PS、2.0Lモデルが170PS(マイナーチェンジ後に180PSに増加)、「MIVEC」搭載の2.0Lモデルが200PSを発生。車重は約1,200kgと軽量だったので、特に「MIVEC」搭載の2.0Lモデルの走行性能は、侮れない実力を秘めていました。

当初グレードは、もっとも出力の高いモデルから「GPX」「GR」「GS」というラインナップで構成されていました。のちに多少バリエーションが増えますが、基本的にはこのグレード構成のまま生産が続けられました。

ちなみに、同時代の他社のライバルモデル(日産・シルビア、トヨタ・セリカ、ホンダ・インテグラ等)と比べると、FTOには販売戦略に大きな違いがありました。このクラスのモデルは5速マニュアルが人気で、販売台数もATに比べるとかなり多いのが特徴ですが、FTOはあえてオートマチック車を中心とした販売戦略を行なっていました。

搭載されていたのは、当時の同じクラスのクルマでは例を見ない、学習機能&マニュアルモード機能付きオートマチックトランスミッションでした。デビュー当初は4速、マイナーチェンジ後には5速にアップグレードされています。ポルシェのティプトロニックと同様の「マニュアルモード」を備えたシステムで、マニュアルの運転が苦手なユーザーにも好意的に受け入れられました。もちろん、スポーツモデルらしく5速マニュアルモデルも設定されていたものの、実際の販売はオートマチック車がマニュアル車の販売台数を大きく上回っているのが特徴です。2019年現在の中古車市場でも、マニュアル車の方が希少モデルとなっています。

重たい鋳鉄エンジンブロックを持つ2リッターのV6をフロントに積むために、サスペンションはかなり固められています。また、全幅のみ3ナンバーサイズとなっているFTOのディメンションは、高いボディ剛性と固められたサスペンションによって、優れたハンドリングを実現することに一役買っています。FTOのハンドリングについては評価が高く、1995年にホンダ・インテグラ・タイプRが登場するまで、国産FF最速との呼び声も多くありました。

FTOのベースとなったモデルは同社のミラージュですが、FTOにはその面影はほとんどありません。室内はかなりタイトで、後部座席はほとんど非常用か、子どもを乗せるくらいのスペースしかありませんが、完全な2シーターのモデルよりは実用性が高く、多くの場面で活躍してくれることでしょう。

中古車市場で狙いたいグレードは?


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FTOをこれから手に入れようというとき、中古車市場でぜひおすすめしたいグレードが「GPX」「GP」「GP VersionR」といった、「MIVEC」搭載の2.0Lモデルです。

V6の2Lエンジン、というスペックが日本でかなり希少なうえ、このエンジンは自然吸気で200PSという出力と、胸のすくような心地良いエンジンサウンドを備えています。かなりフロントヘビーなクルマであることには違いありませんが、固められたサスペンションのおかげで俊敏なハンドリングも楽しむことが可能。このエンジンを楽しむためには、できれば5速マニュアルモデルが好ましいですが、オートマチック車でもマニュアルモードを駆使することで高回転域まで引っ張ることも可能なので、程度の良さ優先で選びましょう。

FTOというクルマ自体が忘れられつつある今、中古車市場も底値で安定している印象です。2000年の製造終了からもうすぐ20年が経つので、クルマの状態のチェックを慎重に行うことはもちろん、消耗品パーツやスペアパーツの確保についてもショップとよく相談しておきましょう。

日本カーオブザイヤーも獲得


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FTOは、その走りの完成度の高さとコンセプトが評価され、1994-1995日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。デビューからの2年間で約2万7千台を売り上げるなど、このクラスのクルマとしては好調な滑り出しでしたが、その後販売が低迷。1997年には年間約2,400台、その後は年々販売台数は半減していき、2000年には285台のみを販売して生産終了となりました。

その後は後継車も発表されず、FTOの名前も復活することのないまま、2019年を迎えています。FFながら小型軽量な車体に大きめのエンジンを搭載し、比較的手頃な値段で販売する。そんなコンセプトのクルマを現代のテクノロジーで作り上げ、運転したら楽しいのでは?と思うのは筆者だけでしょうか。

忘れ去られつつある、隠れた名車の一つ

日本車離れした独特のスタイリング、高回転まで気持ちよく回る可変バルブタイミング付き自然吸気エンジン、硬めのサスペンションが生む鋭いハンドリング。ロングツアラーとしての性能はほどんどありませんでしたが、街を刺激的に走り抜けたり、田舎道やワインディングで気持ちのいい走りを楽しんだりすることができる、手頃な値段の2ドアスポーツクーペだった三菱FTO。

2019年現在でも、復活や後継車の発表は一切ありませんが、このまま忘れ去られるには惜しい、隠れた名車の一つと言えるでしょう。パーツ確保や修理の観点からも、FTOの走りを楽しめる時間はあまり残されていないかもしれません。興味がある方はぜひお早めに体験してくださいね。それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

[ライター/守屋健]